驚くほどの中毒性? ローバー・ミニ(Mk6・7) UK中古車ガイド 理屈抜きの楽しさ

公開 : 2024.10.09 19:05

1959年から2000年まで、約500万台が生産されたミニ 理屈抜きで多くの人を惹き付けたオリジナル 運転へ夢中にさせる敏捷性と安定性 驚くほど中毒性は高い 英編集部が魅力を振り返る

理屈抜きで多くの人を惹き付けたミニ

パワステなしのステアリングと、岩のように硬いクラッチペダル。リアシートへ座れるのは子供だけ。そんな小さなハッチバックは、1959年から2000年まで約500万台が生産された。ミニは、理屈抜きで多くの人を惹き付けてきた。

BMW傘下になったミニというブランドだが、オリジナルの特長は今でも大切に維持されている。AUTOCARでは、1991年に企画した「世界を変えたクルマ・トップ50」で、1位に選出してもいる。

ローバー・ミニ(Mk6・7/1990〜2000年/英国仕様)
ローバー・ミニ(Mk6・7/1990〜2000年/英国仕様)

今回はそんなオリジナルのミニでも、1990年から2000年にローバーが生産した、通称Mk6とMk7(日本ではMk8からMk10)に注目してみたい。英国では、比較的気軽な予算で選べる中古車が、今でも数多く流通しているからだ。

1960年代の初期のモーリス・ミニは、最も安い例でも1万2000ポンド(約230万円)以上する。だがローバーのミニなら、2000ポンド(約38万円)から探すことができる。

年式が新しいぶん、お値段以外のメリットも多い。それ以前は1.0LのBMC Aシリーズ・エンジンが載っていて、最高出力は40psだった。しかしMk6では、1275ccのローバー・ユニットが登場。キャブレターで50psを発揮した。

63psのインジェクション仕様も存在し、1994年以降はそれ1本に絞られている。とはいえ、どのエンジンでも活発なのは100km/hくらいまで。速度に関係なく、クッキーの缶のように簡素なボディ内へ響く、エンジン音は小さくない。防音材も最小限だ。

運転へ夢中にさせる敏捷性と安定性

むしろドライなエンジン音は、トランスミッションやタイヤからのノイズを打ち消してくれる。聴覚的に、クルマとの一体感を高めるものだと受け止めたい。

ステアリングホイールには、路面の状態がしっかり伝わる。運転席の中央から位置は若干ずれているが、反応は鋭くダイレクト。アシストが備わらず、少し重たいとしても。

ローバー・ミニ(Mk6・7/1990〜2000年/英国仕様)
ローバー・ミニ(Mk6・7/1990〜2000年/英国仕様)

カーブへ突っ込んでみれば、12インチか13インチという、小さなタイヤがしっかりグリップ。小さなエンジンと4速マニュアルを活用することで、意欲的な脱出加速を楽しめる。ちなみに、4速ATも用意されていた。

タイヤはボディの四隅へ位置し、高い敏捷性を実現しつつ、安定性も低くない。運転へ夢中になれるはず。

また1991年から2000年にかけては、数多くのバリエーションも提供された。英国ではミニ・シティが好例で、Aシリーズ・エンジンから135km/hの最高速度を叶えている。1992年には、ミニ・スプライトが登場。最高出力は140km/hへ上昇した。

当時のトップグレードに据えられていたのが、クロームメッキで飾られたミニ・メイフェア。1996年に1.3Lエンジンへアップデートされている。2000年にクーパーSが登場。これは現在でもお高めの価格帯にある。

バリエーションは多いが、オリジナルのミニが楽しいという点は共通している。普段使いのファミリーカーとしては相応の覚悟が必要だとしても、休日のドライブを明るく彩ってくれることは間違いない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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