【詳細データテスト】アストン・マーティン・ヴァンテージ 速さと快適性を高次元で両立 魅力的な改良

公開 : 2024.09.28 20:25  更新 : 2024.09.30 01:21

内装 ★★★★★★★★☆☆

ヴァンテージの改良の主なものは、刷新されたインテリアだ。そのテイストやハードウェアとソフトウェアは、DB12で導入されたもの。DB11や従来型ヴァンテージのはっきり言って古いメルセデス製ソフトウェアに比べれば、じつに印象的だ。

センターのタッチ式10.3インチ画面は、やはりユーザビリティの切り札とはなっていない。アイコンは小さすぎる場合もあり、レイアウトはちょっと直観性に欠け、表面はかなり熱くなる。しかし、Apple CarPlayやAndroid Autoとの統合は、かなりユーザーを楽にしてくれる。

インテリアのテイストは、DB12に準じる最新のものを取り入れた。メーターパネルはフルデジタルだが、アナログダイヤルのほうがこのクルマにはマッチしそうだ。
インテリアのテイストは、DB12に準じる最新のものを取り入れた。メーターパネルはフルデジタルだが、アナログダイヤルのほうがこのクルマにはマッチしそうだ。    JACK HARRISON

デジタルディスプレイだけで構成されるメーターパネルは、われわれとしては好きになれない。たしかに鮮明だが、グラフィックにはヴァンテージのようなクルマにあるべきロマンティックさがない。ステアリングホイールの静電容量式コントロールは、遅れが出がちで、全体的にレスポンスがよくないところがある。

同時に、アストンは明らかに物理的なスイッチやダイヤルへの信頼をある程度持ち続けており、温度や風量と音量を調整する溝付きの小さなローラーは本当に好ましい。走行中に、ほとんど視線を落とさず操作できるのは言うまでもないことだ。650psオーバーを扱いながら操作するとなれば、その使い勝手はじつに役に立つ。

ワイドなトランスミッショントンネルにはシンプルなボタンが並び、走行関係の主な要素を調整する。ほかより大きな長方形のボタンは、ギアボックスをマニュアルモードに入れるためのものだ。

ステッチやマテリアルなど質感は高いが、ずんぐりしたギアセレクターなどの例外もある。テスト車は、キーフォブが車内にあるのを認識しそびれることがあった。ブレーキを踏み込んでからボタンを押してエンジンを始動する前に、必要な過程なのだが。

アストンは、電気系の信頼性を大幅に高めてきた。しかし、おそらくはまだ、ポルシェ911ターボSなどにはないような不具合も残っている。ディスプレイにはエラーメッセージが光ることもあり、そのどれも重大なものではない。

ドライビングポジションはストレートで低く、シートはサポート性と快適性をほどよく兼ね備えている。これまでヴァンテージはウインドウラインが高く、シートは比較的車内寄りに設置されてきたので、実際よりワイドで扱いにくく感じてしまう。これは諸刃の剣で、このアプローチは力強く踏ん張った感じも生む。いったん慣れてしまえば、否定しようのないこの手のクルマらしさを楽しめる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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