【飯田裕子が直撃】マクラーレン初のアジパシ女性ディレクターが見る日本市場とは

公開 : 2024.09.25 14:40  更新 : 2024.09.25 18:10

今年7月、マクラーレンのアジア太平洋地域におけるトップ、ディレクターの座に就任した、シャーロット・ディクソン氏。9月の来日に合わせて、マクラーレン横浜のショールームにおいて、インタビューを実施しました。ちょうどアルトゥーラ・スパイダーを試乗したばかりのモータージャーナリスト飯田裕子がきいた、マクラーレンのモデルの魅力と、ブランドの今後、そしてAUTOCAR JAPANと日本市場の印象は?

クルマ好きは子どものころから

―まずは、これまでの経歴を教えてください。

「キャリアのスタートは、ベントレーです。幸運なことに、大学で得たマーケティングの学位を生かすことができ、ミシガンに渡りました。ちょうどコンチネンタル・コンバーチブルがローンチするタイミングで、21歳で異国の地に渡った私にとって、毎日がとてもエキサイティングでした。

その後ロールス・ロイスに移り、セールスやコマーシャルの仕事を経験し、ビスポークにも携わりました。スーパーラグジュアリーでクラシカルなイギリスのクルマを愛していましたが、一方で若いブランドであるマクラーレンに移ることは、胸躍る選択でした。本国で2年間コマーシャルの仕事をし、シンガポールに移って6年になりますが、もはやアジア人だと自負するくらい、シンガポールが、そしてアジアが大好きなんです」

―シンガポールでの愛車は?

シャーロット・ディクソン氏(左)と飯田裕子氏。
シャーロット・ディクソン氏(左)と飯田裕子氏。    マクラーレン・オートモーティブ

「関税があまりに高額で、自分のクルマを保有してはいないのです。免許を取得して初めて買ったクルマはミニ。もちろんMTです。父が自動車関係の仕事をしていたので、子どものころからステキなクルマに触れて育ちました。私の自動車へのパッションは父親譲りなんです。

これまでさまざまなクルマに乗ってきましたが、忘れられないのはマクラーレンに移って2日目、570Sを運転したことです。それまでロールスロイスにいて、ファントムに乗ったりしていたんですよ、あの、2トンの。その上、私はそれまでスーパーカーを運転したことが一度もなかったのです。このギャップに頭が真っ白になりました。

でも、決して乗りにくいクルマというわけではないのです。そもそもマクラーレンは、Eモードやレースモードなど、一台のクルマでさまざまな乗り味を楽しめます。これまでハイパフォーマンスカーにあまり乗って来なかった方にこそ、体感していただきたいですね」

すべてを楽しめるモデル

―新たな歴史の1ページを刻む、ニューモデルについて聞かせてください。

「最新のオールニューハイブリッドスーパーカーであるアルトゥーラ&アルトゥーラ・スパイダーは、マクラーレンのDNAをすべて受け継いだスーパーカーであり、ハイブリッド技術によって革新的なラグジュアリーを求める人々や、都会のライフスタイルに完璧にフィットするモデルです。

非常に多目的で楽しめるモデルなので、ドライブ旅行も素敵な旅になるでしょう。私も南仏で非現実的と言いたくなるようなスパイダーとのドライブ体験をしました。Eモードでの走行もオープンエアドライブとともに満喫できて、もう、すべてを楽しむことができたんです」

高速を走ると、一気にスーパースポーツの世界に引き込まれる。
高速を走ると、一気にスーパースポーツの世界に引き込まれる。    マクラーレン・オートモーティブ

筆者自身、このインタビューの数日前に、アルトゥーラ・スパイダーを試乗する機会を得たのだが、3リッターV6ツインターボエンジン+Eモーターを組み合わせたハイブリッドという、マクラーレンにとって新たな動力を楽しむのなら、スパイダーが理想的だと思えた。

観光客も多い都市部や横浜みなとみらいエリアを、スーパーライトウエイトを体現するデザインを纏ったスパイダーで音も無く走る体験は、オープンエアの方がよりリアルだ。静粛さを保つためにピレリの最新のテクノロジーを初採用する点もマクラーレンらしい。

首都高速に入ると、専用開発が行われたエンジンサウンドが炸裂し、モーターアシストによるピュアエンジン車とは異なる加速レスポンスや、クイックなハンドリングによって、ドライバーは一気にスーパースポーツの世界に引き込まれる。このギャップがたまらない。

また、プロアクティブ・ダンピング・コントロールが、フラットで快適な乗り味と高いアジリティという、両極端とも言える性能を可能にしている。「すべてに意味がある」をモットーに、車両開発を行うマクラーレン。スパイダーこそ、ハイブリッドスーパースポーツの世界を堪能しやすい。

さらに、日常使いの点でみると、音の反響が気になる地下駐車場で、エアコンの効いた室内で気兼ねなくナビの目的地設定ができることも特筆しておこう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    飯田裕子

    Yuko Iida

    免許を取るまではクルマにまったく興味がなかった女子だったが、山に囲まれた実家の近くは折しも峠ブーム。ドライビングやスポーツカーへの興味を抱くようになる。自動車メーカーでOLをしながら弟(飯田章)とレース活動をスタート。退職後「クルマ×人(中心)×生活」をテーマとするジャーナリストに。現在の愛車はポルシェボクスター(981)

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事