【NISMOが設立40周年】 原点は大森ワークス! NISMOロードカーが生まれるまで

公開 : 2024.09.28 06:25

NISMO 400Rは新車価格の2倍以上

第2弾となったのは、1996年の東京オートサロンで発表された『NISMO 400R』だ。R33型スカイラインGT-Rをベースに、エンジン性能を大幅にアップさせたのが最大の特徴で、排気量は2.8Lにスープアップ。最高出力400ps、最大トルク47.8kg-mまで強化されていた。

その性能を受け止めるべく、ワイドタイヤ化も図られ、オーバーフェンダーを装着。エアロパーツも、空力と冷却性能がより向上していた。99台限定とされた価格は、新車価格の2倍以上となる1200万円であり、性能と価格共に衝撃的といえた。

R33型スカイラインGT-Rがベースのコンプリートカー、『NISMO 400R』。
R33型スカイラインGT-Rがベースのコンプリートカー、『NISMO 400R』。

上記2台は特別展示で実車を確認することができ、さらに、2007年6月に限定300台で販売された、Z33型フェアレディZをベースとした『バージョンNISMOタイプ380RS』も展示。こちらはモータースポーツ参戦用車両として市販された『バージョンNISMOタイプ380RSコンペティション』のロードバージョンと言えるもので、3.8Lのレーシングエンジンをデチューンして搭載した。

同車投入は、R35型GT-R登場目前といえるタイミングで、当時GTレースで活躍していたフェアレディZの魅力を改めてアピールする狙いもあったのかもしれない。

日産が得意とする電動車をより面白くする

NISMOがより身近に感じられるようになったのは、2013年1月に発表されたNISMOロードカー第1弾、『ジュークNISMO』からだろう。

NISMOロードカーは、NISMOのモータースポーツ活動で培われた知見が取り入れている点は従来のコンプリートカーと同様だが、GT-RやフェアレディZといった上級スポーツカーだけでなく、マーチやノートといった身近なコンパクトカーのチューニングまで手掛けることで、より多くの人が楽しめるコンプリートカーとして展開している。

NISMOの最新作となる、『オーラNISMO tuned e-POWER 4WD』。
NISMOの最新作となる、『オーラNISMO tuned e-POWER 4WD』。

最新ラインナップも、オーラNISMOの307万2300円から、最上位のGT-R NISMOスペシャルディションの3061万3000円までと幅広い。これまでも、SUVのジュークやミニバンのセレナをベースとした新たな挑戦も行い、現在はEVやe-POWERといった日産が得意とする電動車を、より面白くすることにも挑んでいる。

そのアンサーのひとつである最新作の『オーラNISMO tuned e-POWER 4WD』は、電動四駆制御に拘り、後輪駆動車のような走りの楽しみがあるモデルに仕上げてきた。NISMOを統括する日産モータースポーツ&カスタマイズの片桐隆夫社長は記念の式典で、「モータースポーツの発展に貢献すると共に、クルマを通じたエキサイトメントを追及していく。次の40年もワクワクを提供していきたい」とコメントしている。

これからのNISMOは果たして、モータースポーツシーンでどんな活躍を見せ、そして日産車として販売されるNISMOロードカーに、如何なる魅力を加えていくのか。その今後に興味津々だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    大音安弘

    1980年生まれ、埼玉県出身。幼き頃よりのクルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在は自動車ライターとして、軽自動車からスーパーカーまで幅広く取材を行う。原稿では、自動車の「今」を分かりやすく伝えられように心がける。愛車は、スバルWRX STI(VAB)とBMW Z4(E85)など。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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