「孤高の地位」を築いた高速ワゴン! アウディRS6 アバントGTへ試乗 魔法のような快適性

公開 : 2024.10.11 19:05

プッシュしたくなるニュートラルなライン取り

RS6 アバントGTは、大きくて軽くない。それでも、試乗したスペインのワインディングを、極めて自然に駆け抜けてみせた。ステアリングホイールへフィードバックが伝わり、もう少しプッシュしようという気持ちにさせる。

ただし、アクセルペダルの踏み加減でライン調整できるわけではない。アウディらしく、コーナリング・スタンスは常にニュートラル。アンダーステアは抑えられている。

アウディRS6 アバントGT(英国仕様)
アウディRS6 アバントGT(英国仕様)

ツインターボエンジンに、電気的なアシストはない。ターボラグが小さくなく、本領が発揮されるのは3500rpm前後から。ヘアピンカーブなどで回転が落ちると、期待通りのパンチ力をすぐには得にくい。

電気モーターが加勢してくれれば、一層爽快だろう。きっかけを与えて、リアアクスルを振り回すことは可能だが。

サウンドは、ターボ過給されるV8エンジンらしいもの。マフラーから、空気を切り裂くような激しいバリトンの響きが放たれる。ターボチャージャーの悲鳴も重なる。運転席より、路肩で聞いている方が一層刺激的なようだ。

孤高の地位を築いた類まれなロードカー

ちょっと振り切った存在の、RS6 アバントGT。この特別な見た目を、筆者は嫌いではない。古いレーシングカーのグラフィックを再現しても、必ずしもカッコ良くなるとは限らないが、この例では成功していると思う。

走りの印象は、RS6 アバント・パフォーマンスから大きく進化したわけではない。とはいえ、それはネガ要素ではない。このC8系で、高速ステーションワゴンとして孤高の地位が築かれている。

アウディRS6 アバントGT(英国仕様)
アウディRS6 アバントGT(英国仕様)

表現力の豊かさや野性味では、BMWメルセデスAMGのライバルには及ばないとはいえる。しかし、類まれなロードカーに間違いない。RS6 アバントGTは、固有の特長を維持しつつ、さらに訴求力を増した仕上がりにある。

◯:古いレーシングカーの雰囲気を巧みに解釈した見た目 コイルオーバーキットが乗り心地とシャープさを両立
△:高額で既に完売状態 いざという時のターボラグ

アウディRS6 アバントGT(英国仕様)のスペック

英国価格:17万6975ポンド(約3398万円)
全長:4995mm
全幅:1960mm
全高:1485mm
最高速度:305km/h
0-97km/h加速:3.3秒
燃費:8.2km/L
CO2排出量:−
車両重量:2075kg
パワートレイン:V型8気筒3996cc ツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:630ps/6000rpm
最大トルク:86.9kg-m/2300-4500rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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