エンジン載せ替えて「劇変」したクルマ 性能やキャラクターが変わった名車たち 31選 前編
公開 : 2024.10.27 18:05
フィアット500
2007年発売のフィアット500には当初、複数の4気筒ガソリンエンジンが用意されていた。発売から3年後、フィアットはマルチエア技術を使用した2気筒の「ツインエア(TwinAir)」エンジンを導入した。
燃費はあまり芳しくなく、デュアルマス・フライホイールを追加するまでは振動も大きかった。しかし、人気の秘訣は何よりもその可愛らしさにある。500の外観と同じように、ツインエアはとても愛くるしいサウンドを奏でるのだ。
フォード・コルティナ
1962年に発売された初代コルティナ(Cortina)のほとんどのモデルは、プレ・クロスフロー(pre-Crossflow)形式の1.2Lまたは1.5Lの「ケント(Kent)」エンジンを搭載していた。翌1963年、新しいエンジンを導入し、大きな変貌を遂げたモデルが登場する。ロータス・コルティナである。
基本的にはケントと同じエンジンだが、シリンダーヘッドが全く異なるものであった。このエンジンは「ツインカム(Twin Cam)」と呼ばれ、コルティナとして初めて最高出力100psを超えた。その後も改良を重ね、レースやラリーで大活躍。1960年代のホットハッチとして今も語り継がれている。
フォード・エスコート
コルティナと同様、初代エスコート(Escort)もロータスのツインカム・エンジンを導入して名を馳せた。そのさらに上を目指したのが、1970年のコスワース「BDA」エンジンを搭載したエスコートRS1600だ。
ツインカムと同じく、ケント・エンジンをベースとしており、標準仕様はさほどパワフルではない。しかし、1気筒あたり4バルブを採用したためチューニングに対する柔軟性が高く、結果として初代エスコートは70年代初期から中期にかけて偉大なラリーカーとして知られるようになった。
今でも、フルチューンされたエスコートRS1600が森の中のラリーステージを駆け抜けるサウンドは、聞く者にとって忘れがたい経験となる。
フォード・シエラ
シエラ(Sierra)は、コルティナとモンデオの中間に位置する欧州フォードの中型車で、初期の頃はさまざまなエンジンが用意されていたが、大型のV6エンジンを除いて、特に目立ったものはない。転機となったのは、1986年以降のシエラRSコスワースに搭載された2.0L 4気筒エンジンである。
その基礎部分は、実績豊富なピント・エンジンをベースにした平凡なものだが、ターボチャージャーと16バルブの採用により性能が飛躍的に向上。最も “非力” なバージョンでも200ps以上を発生し、競技用としてさらに改良を加えれば、600psを上回ることも可能だった。