【詳細データテスト】フォルクスワーゲン・ゴルフGTI マイルドな乗り味に改良 悔やまれるMT不在

公開 : 2024.10.05 20:25

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

ゴルフGTIの基本はこれまで同様、安らかな気持ちになれるくらい慣れ親しんだものだ。フォルクスワーゲンのMQBプラットフォーム採用車のうち、パフォーマンス志向のモデルの公式どおりとも言える。つまり、リアサスペンションはトーションビームではなくマルチリンクで、ボンネットの下には2.0LターボのEA888が積まれる。出力は、従来型より19psアップして265psとなり、GTIクラブスポーツの300psにより近づいた。

トランスミッションは7速DCTのみで、6速MTは選択肢から消えた。フロントアクスルロックを意味するドイツ語を略しVAQと呼ばれる、フォルクスワーゲングループがここ数年の前輪駆動ホットハッチに装備しているアイテムも採用。デフに外付けしたクラッチパックを用いて、片側のドライブシャフトをデフのギアキャリアに対してロックでき、ロッキングトルクを産んでLSDのような機能を果たす。

ヘッドライト形状は、通常のゴルフと同様に改修。標準装備のマトリックスLEDは、パワフルでありながら対向車の防眩にも効果的だ。初代から続くGTIのアイキャッチであるグリルの赤いラインは、ヘッドライトにまで続いている。
ヘッドライト形状は、通常のゴルフと同様に改修。標準装備のマトリックスLEDは、パワフルでありながら対向車の防眩にも効果的だ。初代から続くGTIのアイキャッチであるグリルの赤いラインは、ヘッドライトにまで続いている。    JOHN BRADSHAW

VAQはブレーキ式トルクベクタリングのXDSと、リチューンされGTIに標準装備化された可変レシオのプログレッシブステアリングと協調する。

バージョン8.5のゴルフGTIは、見た目の改修も数多く施された。ヘッドライトは通常のゴルフと同じく、従来よりややシャープで角張った形状になり、マトリックスLEDはよりパワフルに。テールライトも新形状で、ダイナミックウインカーが導入された。GTIにはフロントのライトバーと、ライトアップされるVWロゴも備わる。クラブスポーツは、通常のGTIとは異なるデザインのバンパーが与えられた。

ホイールはようやく複数の仕様が新設された。テスト車が履くのはクイーンズタウンことオプションの19インチで、ゴルフVのGTIが履いた17インチを思わせるデザイン。クラブスポーツ専用オプションには、軽量化を追求した鍛造19インチが設定される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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