日本車屈指の色香! マツダRX-7で1500km(1) ロータリーターボでバイオ燃料を燃やす

公開 : 2024.10.19 17:45

燃費が悪いことでも有名なマツダRX-7 官能的な美しさを湛える有機的デザイン 痛快にパワーを繰り出すロータリーターボ 新しいバイオ燃料で、英国編集部がグレートブリテン島を縦断

燃費が悪いことでも有名なFD型マツダRX-7

かつてのクルマ好きは、血中アルコール度を守り、生活費と帳尻を合わせ、社会の調和を維持すれば問題なかった。クルマの環境負荷は高くても、その時代なりの努力がなされ、合理化することはできた。

ところが、近年はクラシックカーの電動化、エレクトロモッドへ注目が集まっている。古いクルマを嗜む人でも、罪悪感に苛まれる割合が少なくないことを示している。

マツダRX-7(FD型/1992年式/英国仕様)
マツダRX-7(FD型/1992年式/英国仕様)

ただし、電動化が唯一の手段ではない。持続可能性を担保した燃料を選べば、エンジンを降ろさずに愛車との時間を気兼ねなく楽しめる可能性はある。今回は、そんな新エネルギーの実際を確かめるため、グレートブリテン島を縦断してみようと思う。

選んだのは、1992年式のFD型マツダRX-7。特徴的なロータリー・ツインターボエンジンを積むが、燃費の悪さでも有名なモデルだ。ダークなモンテゴ・ブルーに塗られたボディは、小柄で滑らか。眺めている限り、ガソリンを大量に燃やすようには思えない。

ツインローターの排気量は1.3Lで、最高出力は240ps。AUTOCARでは1992年に詳細データテストを実施し、5.5km/Lという燃費を目の当たりにしている。同時期のフェラーリ512 TRは、428psで5.2km/Lだった。

この燃料消費量に対応するため、ガソリンタンクは77Lと巨大。その結果、荷室の床面が高い。

官能的な美しさを湛える有機的デザイン

今日、このタンクを満たしているのは、英国のサステイン社が精製した液体。原油由来ではない、バイオ燃料だ。通常のガソリンと比較して、産出や輸送コストまで含めると、CO2排出量は82%も削減できると主張されている。

今回は、このバイオ燃料で1500kmほど走る。グレートブリテン島の最北に位置する、ジョン・オ・グローツという小さな村を目指す予定だ。

マツダRX-7(FD型/1992年式/英国仕様)
マツダRX-7(FD型/1992年式/英国仕様)

サステイン社が主張する通り、何の改造も加えずに、30年以上前のRX-7は長距離を快走できるだろうか。この遠征が成功すれば、ピストンエンジンのクラシックカーにも対応するはずだ。

と、堅苦しいことを書いているが、筆者が何より楽しみなのはFD型の運転そのもの。日本製スポーツカーのレジェンドの1台と、3日間をともにできるのだから。

ドアを開く前から、自分は魅了されている。歴代の日本車で、スタイリングの素晴らしさは5本の指に入るだろう。1990年代は曲線基調の有機的なデザインが流行したが、RX-7は無駄に膨らむことなく、均整の取れた姿に仕上がっている。

官能的な美しさを湛えつつ、スポーツカーらしい。日本のクルマは真似が多いと批判されることもあったが、この例は間違いなく違う。同時期のBMWポルシェと並べれば、独創性や先進性が顕著に見えるはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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