日本車屈指の色香! マツダRX-7で1500km(1) ロータリーターボでバイオ燃料を燃やす
公開 : 2024.10.19 17:45
線形的なトルクカーブ 過給音が聴覚体験の中心
出発地はグレートブリテン島南西部の先端、ランズ・エンド岬。晩夏の早朝で、道には人影が殆どない。国道A30号線は、幅は狭いが適度にカーブを描く。RX-7の操縦性を確かめるのに、絶好のロケーションといえる。
13Bユニットは、極めて滑らかに回る。パワー感は一般的なターボエンジンと違わないものの、シーケンシャル・レイアウトのツインターボで、トルクカーブは線形的だ。
自然吸気のロータリーエンジンと異なり、中域トルクも充分。2基目のターボが効き始めるのは、5000rpmの手前から。ここを過ぎると勢いが増すが、エグゾーストノートは大きくなく、高音の過給ノイズが聴覚体験の中心になる。
7000rpmまで引っ張ると、リミッターのブザーが鳴る。気持ちを鎮めるように。
40分も走らないうちに、道は直線中心に。クルーズコントロールをオンにする。ダッシュボード上のボタンは、システム起動のボタン。ステアリングホイール上に、セット、キャンセル、アクセルのボタンが並ぶ配置は独特だ。
それ以外のキャビンに、変わった部分はない。内装はブラックのプラスティックが支配的。エアコン用のダイヤルが触れやすい位置にあり、ドライバー正面にあるタコメーターの色使いは、ポルシェに似ている。
シートは感心するほど座り心地に優れる。身体を包み込みつつ、窮屈ではない。シフトレバーとステアリングホイール、ペダルのポジショニングも完璧。しっかり人間工学が意識されている。リアシートはなく、収納ボックスが据えられる。
バイオ燃料の価格はガソリンの約3倍
高速道路でRX-7を味わっているうちに、ロンドンの西、オックスフォードシャー州へ。サステイン社の拠点があり、クラシック・スーパー80と名付けられたバイオ燃料の給油所もある。
今のところ、ここが英国で唯一のスタンドだが、2024年中に4・5か所へ増える予定にある。このバイオ燃料には原油由来のガソリンが20%混ぜられ、コストを抑えている。それでも、1L当たり4.65ポンド(約900円)でかなり高い。
英国ヒストリックカー・クラブ連盟の試算では、燃費約7.0Lのクラシックカーで2000km走ると、燃料代は424ポンド(約8万円)から1264ポンド(約24万円)へ増えるという。
古いベントレーやフェラーリをコレクションする富裕層にとっては、巨大な額ではないかもしれない。しかし、MGBやゴルフ GTIを週末に楽しむような庶民には、現実的な選択肢にはなりにくいだろう。
この付近の荒れた一般道は、RX-7と相性があまり良くないようだ。乗り心地は充分しなやかだが、路面からの入力をサスペンションが吸収しきれず、稀にボディシェルへ衝撃が届いてしまう。
マツダは高剛性で軽いRX-7を目指したため、サブフレーム・マウントは硬い。防音材は最小限で、欧州仕様ではサスペンションも強化され、フロントストラットにタワーバーも追加されている。シャシーの反応は、清々しいほど機敏だ。