森や畑の廃棄物で作る「新燃料」 マツダRX-7で1500km(2) 魅力そのまま環境負荷は減らせる?

公開 : 2024.10.19 17:46

燃費が悪いことでも有名なマツダRX-7 官能的な美しさを湛える有機的デザイン 痛快にパワーを繰り出すロータリーターボ 新しいバイオ燃料で、英国編集部がグレートブリテン島を縦断

森や畑の廃棄物が由来のバイオ燃料

次の目的地は、グレートブリテン島を北上してスコットランドの首都、エディンバラ。ここからの道は、走りがいがある。FD型マツダRX-7の燃費は、一層悪くなるはず。給油のため、退避スペースでサステイン社のサポート車両を待つことに。

遠くないところに、巨大なステンレス製のサイロが見える。ベルトコンベアからこぼれたジャガイモが、地面で土へ還ろうとしている。

マツダRX-7(FD型/1992年式/英国仕様)
マツダRX-7(FD型/1992年式/英国仕様)

サスティン社のバイオ燃料は、第二次大戦時の合成ガソリンとは異なる。当時のドイツは、石炭由来の代替石油を生産していた。

現代の合成燃料、e-フュエルは再生可能エネルギーを利用し、水の電気分解で水素を抽出。大気中に含まれる二酸化炭素と合成した液体が、一般的といえる。だが、サステイン社の燃料はそれとも異なる。

森林からの廃棄物や、廃棄される野菜を原料に、炭化水素を合成している。もちろん、その炭素は植物が成長の過程で空気中から取り入れた成分だから、燃焼時のCO2増加は基本的にないと考えていい。

精製所で生産されるバイオ燃料は、オクタン価93のガソリンと変わらない。最終的には、英国で一般的なオクタン価95へ調整を受ける。

似た手法で作られるバイオエタノールとは異なり、ガソリンと同様にエンジンで使えるのが特長。クルマを改造する必要はなく、パワーの低下もないそうだ。

フラットなコーナリング ダイレクトなアクセル

科学の難しい話は、このくらいにしよう。最後の給油を終え、グレートブリテン島最北の小さな町、ジョン・オ・グローツまでは残り440kmほど。これまで以上に、カーブが連続する区間へ突入する。

ただしスコットランドの国道、A9号線は幹線道路で、速度取締用のカメラが点在している。RX-7の燃費は伸ばしやすいが、気は抜けない。

マツダRX-7(FD型/1992年式/英国仕様)
マツダRX-7(FD型/1992年式/英国仕様)

日が暮れて、手前のダンケルドという街で2泊目。燃料計の針は、残り75%位の位置を指している。

翌朝、ケアンゴームズ山脈付近に広がる、美しい景観を目指す。交通量は徐々に少なくなり、スコットランドの名所、ノースコースト500というドライブルートが始まる。遅い車両が見えたらシフトダウン。クルージング状態から、素早く追い越しを完了させる。

アスファルトは滑らかになり、RX-7の真価を確かめられるように。北東部のドーノック湾の付近は、道も景色も特に素晴らしい。幅の広い直線と、見通しの良いタイトなカーブが連続している。起伏も適度にある。

アクセルレスポンスはダイレクト。コーナリングはフラット。ステアリングホイールは適度に重く安定している。運転する喜びを、思い切り堪能する。

東岸を北上しつつ、走りへ夢中になっているうちに、ウィックの町へ。国の果て、といった雰囲気がそこはかと漂う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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