エンジン載せ替えて「劇変」したクルマ 性能やキャラクターが変わった名車たち 31選 後編

公開 : 2024.10.27 18:25

ルノー6

今回紹介する中では、比較的穏やかな変化を遂げた1台。ルノー6(シス)は、既存のルノー4(キャトル)の上級モデルとして開発されたが、1968年の発売当初は4と同じ旧式のエンジンを使用していた。当時すでに、もっと強力な「クレオンフォンテ」が実用化されていたにもかかわらずだ。

1970年、ルノーはようやくクレオンフォンテを6に導入した。特別に速いというわけではなかったが、そもそも速くする必要はなかった。1974年にAUTOCAR英国編集部が試乗した際も、その走りを高く評価している。

ルノー6
ルノー6

ルノー・クリオ・ルノー・スポール

クリオ(日本名:ルーテシア)の高性能モデルであるクリオ・ルノー・スポールは当初、高回転型の自然吸気2.0Lエンジンを使用していた。この方針は2013年に大きく変わり、ルノーのアライアンスパートナーである日産と共同開発した、最高出力200psの1.6Lターボに切り替えられた。

クリオのキャラクターが変貌したことは疑いようもない。問題は、それがポジティブな変化なのか、ネガティブな変化なのかということだ。中速域の性能が向上したことを大きな改善点と捉える人もいたが、AUTOCARは「前モデルの小気味よいキビキビとした走りは、容赦なく失われてしまった」と評した。

ルノー・クリオ・ルノー・スポール
ルノー・クリオ・ルノー・スポール

サーブ96

サーブは1949年発売の92から、1967年の96(92の第2世代)の途中まで、2ストロークエンジンだけを使用してきた。そこから、ドイツ・フォードが開発した4ストークのV4に切り替えた。

世界屈指のエンジンとは言えないものの、それまでサーブで採用されていたどのエンジンよりもパワフルだった。また、ハチをブリキ缶に閉じ込めたような騒音や、臭い青煙を大量に出さないことも重要な点であった。サーブ96は1980年まで生産されたが、もし2ストロークに固執していたら、間違いなく早期に生産終了していただろう。

サーブ96
サーブ96

サンビーム・アルパイン

冒頭(前編を参照)に紹介したACエース&ACコブラとほとんど同じ経緯である。キャロル・シェルビー氏は、サンビーム・アルパイン(Sunbeam Alpine)にももっとパワーを与えなければならないと考えたのだ。

標準エンジンからフォードの「ウィンザー」(当初は4.3L、後に4.7L)に換装され、車名もその力強い特性にふさわしく、タイガー(Tiger)という攻撃的なものへと改められた。ただし、コブラと違って大排気量V8に発展することはなかった。

サンビーム・アルパイン
サンビーム・アルパイン

記事に関わった人々

  • AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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