エンジン載せ替えて「劇変」したクルマ 性能やキャラクターが変わった名車たち 31選 後編
公開 : 2024.10.27 18:25
バンデン・プラ・プリンセス
ヴァンデン・プラ・プリンセス(Vanden Plas Princess)として知られる数種類のクルマの中で、ここで取り上げるのはファリーナ設計の大型セダンで、オースチンやウーズレーが生産したモデルとほぼ同じだ。すべて2.9Lの直6エンジンを搭載していたが、プリンセスだけはさらに改良が加えられた。
1964年、数回の改良を経て、プリンセスRと名付けられた高性能モデルが登場。エンジンはロールス・ロイスが開発した3.9Lで、最高出力は120psから175psに跳ね上がり、以前よりはるかに速くなった。ただ、プリンセスのキャラクターを考えると、加速性能よりも高速巡航を重視していた可能性が高い。
ヴォグゾール・カールトン
ヴォグゾールのカールトンGSi(Vauxhall Carlton GSi)は、優れたハンドリングと強力な3.0Lの24バルブエンジンを備えたスポーツモデルだ。また、ワーグナーのオペラのように壮大な高性能モデル、ロータス・カールトンのベースとなったことでも知られる。ドイツ・リュッセルスハイムのオペル工場から出荷されたカールトンGSiは、英国のロータス本社に送られ、150時間かけて改造された。
改造の内容は、直6エンジンの排気量を3.0Lから3.6Lに拡大し、ギャレット製ターボチャージャーを2基搭載するというものだった。その結果、最高出力は207psから382psへと向上し(高オクタン価のガソリンを使用した場合)、加速性能も大幅に高められた。あまりの速さに、販売中止を求める声が上がるほどであった。
フォルクスワーゲン・ゴルフR
初代と第2世代のゴルフRは、搭載される3.2L V6エンジンにちなんで「R32」と呼ばれている。強力で素晴らしいサウンドを奏でるエンジンだったが、非常に重く、ほぼフロントアクスルの前方に搭載されたため、ハンドリングに悪影響を与えていた。後に改善が図られたが、カーブが連続する山道では苦戦を強いられることもある。
その次の世代からは、新たに2.0L直4ターボを採用。パワーアップと同時に軽量化も実現した。ハンドリングの問題はようやく解消され、ゴルフRは本来あるべき立派なホットハッチとなった。
フォルクスワーゲン・パサート
1997年に登場したパサートは、良いクルマではあるが、特にワクワクするようなクルマではなかった。エンジンもほぼすべて平凡だったが、例外が1つだけある。4.0L W8エンジンだ。2基の2.0L V4エンジンを1つのクランクケースに統合したユニークな構造で、量産車に搭載されたのはパサートが唯一の例である。
パサートW8は2001年から導入され、標準車より80ps以上上回る最高出力275psを発生。他に類を見ない特徴を持つエンジンだが、販売は振るわず、短命に終わってしまう。これはフォルクスワーゲンも予想していたことかもしれない。
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