エンジン載せ替えて「劇変」したクルマ 性能やキャラクターが変わった名車たち 31選 後編

公開 : 2024.10.27 18:25

フォルクスワーゲントゥアレグ

フォルクスワーゲンにはもう1つ、素敵なエンジンがある。初代トゥアレグの発売から2年後に追加された、6.0L W12エンジンだ。パサートのW8と同様に珍しい構造だが、こちらはアウディA8ベントレー・コンチネンタル、フォルクスワーゲン・フェートンなど複数のモデルに導入されている。

W12は最高出力450psと、性能面でも他のあらゆるエンジンを圧倒した。フォルクスワーゲンは当初、このトゥアレグW12を500台のみ生産する予定だったが、予想外の人気を博したため、台数制限はなくなった。

フォルクスワーゲン・トゥアレグ
フォルクスワーゲン・トゥアレグ

モーリス・マイナー

1948年の発売当時、モーリス・マイナー(Morris Minor)にはウーズレー設計の918ccエンジンが搭載されていたが、すでに20年前の古い設計だった。1952年、モーリスはかつての宿敵オースティンとともにブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)に統合される。これにより、BMCの新しいAシリーズ・エンジンを利用できるようになった。

Aシリーズ・エンジンは803ccと小型ながら、それまで搭載されていたエンジンとほぼ同等のパワーを発揮し、さらに発展の余地も十分に残されていた。排気量は後に1098ccにまで拡大され、マイナーが生産終了となる1971年まで使われ続けた。

モーリス・マイナー
モーリス・マイナー

タルボ・サンビーム

タルボ・サンビーム(Talbot Sunbeam)のほとんどのモデルには、ヒルマン・アヴェンジャーに使用されていた1.3Lまたは1.6Lのエンジン、あるいはヒルマン・インプのエンジンをベースにした928ccのユニットが搭載されていた。例外は、ロータス製の2.2L 16バルブエンジンで、ジェンセン・ヒーレーやロータスが生産した複数のスポーツモデルで使用されるシリーズのものだった。

この最高出力150psのエンジンを積んだタルボ・サンビーム・ロータスは、モータースポーツで活躍を見せる。四輪駆動が全盛となる直前の時代、サンビーム・ロータスは1981年の世界ラリー選手権でマニュファクチャラーズタイトルを獲得したのだ。

タルボ・サンビーム
タルボ・サンビーム

オペル・シェベット

シェベット(Chevette)は当初、オペル・カデットをベースにした小型ハッチバック車(後にセダンとワゴンも発売)だった。ほぼすべてのモデルに排気音1256ccのエンジンが搭載されていたが、オペルは前述のタルボと同様に、ラリー用にさらにパワフルなバージョンを開発することでブランドの宣伝を図った。

オリジナルのエンジンでは不十分であったため、2.3Lの「スラント4(Slant-4)」エンジンに16バルブのシリンダーヘッドを追加し、シェベットHS(写真)を作り上げた。後に登場したHSRにも同様の設計が採用され、オーバーフェンダーを含むグラスファイバー製パネルを装備するなどアグレッシブな外観となっている。

オペル・シェベット
オペル・シェベット

記事に関わった人々

  • AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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