【新車販売は2カ月ぶりにプラス】2024年9月期の新車販売台数 荒天の影響がここにも

公開 : 2024.10.02 06:25

2024年9月期の新車販売台数は微増ながらも2カ月ぶりにプラスに回復しました。受注残があった人気車の納期遅れも改善しつつあることも要因にあると見られますが、8月末からの荒天の影響も残るようです。

2024年9月期の新車販売台数(速報値)

日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会は、2024年9月期の新車販売台数(速報値)を発表した。

日本自動車販売協会連合会がまとめた登録車の9月期の新車販売台数は、前年同月比0.8%増の27万4378台と2カ月ぶりのプラス。一方、全国軽自動車協会連合会がまとめた9月期の軽自動車の新車販売台数は、同0.6%減の16万4355台と2カ月連続でのマイナスとなる。

2024年9月期の新車販売台数(速報値)。
2024年9月期の新車販売台数(速報値)。

結果として、トータルでの9月期の国内新車販売台数は同0.3%増の43万8733台と2カ月ぶりの前年実績超えを果たした。

登録車の9月期のブランド別新車販売台数

前年実績を下回ったのは、不正認証問題の影響が残ったトヨタ(前年同月比6.9%減の12万4529台)とダイハツ(同2.2%減の2997台)、さらに新車効果が薄れた三菱自動車(同7.2%減の4322台)の3ブランドのみ。

対して、ホンダは同38.4%増の3万5337台、日産自動車は同2.5%増の2万9064台、スズキは同2.2%増の1万819台、マツダは同14.7%増の1万6台、スバルは同14.9%増の9390台、レクサスは同4.4%増の8535台とプラスを記録した。

一方で貨物車のブランドは、いすゞ自動車が同19.4%増の7921台、日野自動車が同30.4%増の4111台、UDトラックスが同18.7%増の1119台とプラスを達成したものの、三菱ふそうは同18.7%減の2893台と低迷した。

軽自動車の9月期のブランド別新車販売台数

前年同月比で5.8%増の5万4000台を成し遂げたスズキが9カ月連続でのシェアトップにつく。最大のライバルのダイハツは、全車種の生産・出荷を再開したものの同18.3%減の4万3066台にとどまった。

一方、ホンダは同14.0%増の3万2648台、日産自動車は同7.6%増の2万58台とプラスを回復。三菱自動車も同6.7%増の7495台とプラスを継続する。また、OEM供給を受けるブランドではマツダが同6.6%増の3571台とプラスを記録する一方、トヨタ自動車は同10.6%減の2098台、スバルは同6.9%減の1403台と苦戦した。

9月期の新車販売は2カ月ぶりにプラス

9月期の新車販売の動きについて業界団体の関係者は、「トヨタやダイハツなどの不正認証問題の影響が緩和し、受注残があった人気車の納期遅れも改善しつつあることから、9月期の新車販売は2カ月ぶりにプラスを回復した。

ただし、伸び率は0.3%と低め。新型車のデビューが少なかったことに加えて、8月末の台風10号の影響や、秋雨前線の活発化に伴う東北地方から北陸地方、九州地方と広い範囲で大雨が長引いてディーラーへの客足が伸びず、さらに流通網にも支障が出た点が、販売台数に多少なりとも影響を与えた模様」と解説する。

2024年9月期の新車販売台数(速報値)。
2024年9月期の新車販売台数(速報値)。

今後に関しては、「新車の需要は新型車を中心に底堅いものの、従来よりも新型車の受注台数の伸びが鈍り、合わせて好調な販売を継続する期間が短い車種が増えていることは懸念材料。

実質賃金が物価上昇に追いついていないことから個人消費の弱さが目立っていることも、新車販売にとってはマイナス要因。一方、10月1日発表の日銀の短観によると、大企業自動車製造業の先行き予想は前回調査より2ポイントほど改善しており(プラス9)、市場全体としては年末に向けて手がたく推移するものと思われる」と指摘した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    大貫直次郎

    Naojiro Onuki

    1966年型。早稲田大学卒業後、自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、フリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)などのほか、レストア待ちの不動バイク数台。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』シリーズなど。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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