【解禁時間公開】 フェラーリ・ドーディチ・チリンドリに初試乗! これぞ歴史に残る”12気筒”

公開 : 2024.10.02 07:01  更新 : 2024.10.02 10:05

フェラーリの新型12気筒モデル、『ドーディチ・チリンドリ』に編集長がルクセンブルクで試乗。フェラーリ専門誌『SCUDERIA』の編集長を13年務めてきた筆者が、思い入れたっぷりに印象を語ります。

今や世界唯一となった、"非電動化"V12

フェラーリが創業した翌年となる1948年に登場した初のロードカー『166インター』がそうであったように、V12エンジンをフロントに搭載するモデルは、フェラーリにとってDNAを体現する大切な存在だ。

その後、1954年の『250GTクーペ』や1964年の『275GTB』などを経て、今回、『ドーディチ・チリンドリ』のデザインモチーフとなった1968年の『365GTB4』、通称”デイトナ”まで、フェラーリのロードカーにおいて、主軸のパワートレインであり続けた。

12気筒を意味するイタリア語、『ドーディチ・チリンドリ』を車名に採用した新型フェラーリ。
12気筒を意味するイタリア語、『ドーディチ・チリンドリ』を車名に採用した新型フェラーリ。    フェラーリ

しかし我々日本人は、1977年を頂点とするスーパーカーブームで、1971年の『365GT4/BB』や1976年の『512BB』がランボルギーニカウンタックと双璧をなす憧れの存在であったことや、1984年に登場した『テスタロッサ』などが、バブル時代を象徴する華やかかつ強烈なイメージであったことから、リアにミドシップマウントするフェラーリのほうが本来あるべき姿だと思いがちだ。

だから、1996年に『550マラネロ』でフロントエンジンに回帰したときは、主に憧れ層から批判的な意見が多かったと記憶している。しかしそこから『575Mマラネロ』、『599』、『F12ベルリネッタ』、『812スーパーファスト』と続いてきたのはご存知のとおりで、一方、550マラネロよりも一足早い、1992年の『456GT』に始まったフロントV12エンジン4シーターの流れは、『612スカリエッティ』、『フェラーリ・フォー(通称FF)』、『GTC4ルッソ』を経て、フェラーリ初の4ドアモデルとなった、『プロサングエ』へと続いている。

そういった流れの中で今年5月にデビューしたのが、812スーパーファストの後継となる『フェラーリ・ドーディチ・チリンドリ』だ。イタリア語で12を意味する”ドーディチ”と、気筒=シリンダーを意味する”チリンドリ”を合わせて、そのまま”フェラーリ12気筒”を車名にするという、大谷も真っ青のど真ん中ストレートである。

しかし重要なのは、フェラーリV12のDNAを受け継ぐ大切な存在であること。そして今や世界唯一となった、”非電動化”V12パワートレインを搭載することだ。

そういった背景を理解すると、このドーディチ・チリンドリという車名に、どれだけの思いが込められているか、容易に想像できるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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