ポルシェ・カイエンS
公開 : 2015.01.20 23:55 更新 : 2017.05.29 19:04
サスペンションによる劇的なハンドリングの変化は、正直にいえばさほどではない。しかし、ビッグSUVらしからぬ機動力は、フェイスリフト後のこのモデルでも健在である。
コーナリング時にはわずかにリア・ホイールのスリップを許す4WDシステムの仕立てゆえ、ターンインは思いのほかするりと向きを変える印象。扱いやすさ、バランス、レスポンスともにSUVの域を超えている。
SUVであるにもかかわらず、楽しみながらコーナーを抜けることができるのは、素晴らしいブレーキとスロットルのフィール/レスポンス、優れた重量配分、予測可能なステアリングのおかげなのだと感心した次第だ。
テスト車両にはオプションのエア・サスペンションが装着されているため、ボディは常に一定の位置を捉えつづけ、ふわりと浮いたような感覚をもたらす。
またスポーツ/スポーツ・プラス・モード時の荷重移動のマナーやボディの動きは、ギュッと引き締まった印象でまさに絶妙のひとこと。ただし、このモードだとバンピーな路面では凹凸を露骨に拾うため、ボディの上下動を許すシチュエーションが多かった。
加えて、21インチのアロイ・ホイールが衝撃吸収のフォローを行うこともないため、サスペンションとホイールが、絶妙な均整をたもつカイエンSの足を引っ張る結果となっている。レンジ・ローバー・スポーツの方が乗り味もハンドリングもひとつうえのレベルにある。
インテリアのアップデートもエクステリア同様に控え目だけれど、なかでも新設計のマルチ・ファンクション・ステアリングが主だった変更点だ。ステアリング上の各スイッチの操作は快適、リムの深さもしっくりとくる。
もちろんキャビンの居心地も相変わらずすこぶるよく、エアコンや電動レザー・シートの調整幅にも不満はない。衛星ナビゲーションとブルートゥース接続がオプション設定なのはいかがなものとは思うけれど。