1.2Lハイブリッド登場 プジョー5008へ試乗 大人も許容する3列目 家族の要望を満たす新世代

公開 : 2024.10.14 19:05

動力性能は必要充分 満員時は物足りないかも

今回試乗した1.2Lハイブリットは、3気筒ガソリンターボエンジンと、6速デュアルクラッチAT内に電気モーターが組まれた構成。駆動用バッテリーは0.9kWhとなる。電気だけで走れる距離は1km程度でも、エネルギー効率を高めている。

最高出力は135psで、最大トルクは23.4kg-m。0-100km/h加速を11.3秒でこなし、最高速度は197km/hがうたわれる。

プジョー5008 ハイブリット(英国仕様)
プジョー5008 ハイブリット(英国仕様)

公道を走らせてみると、動力性能は1705kgの車重へ必要充分。高速道路の合流車線では、短距離で加速を終えられる。とはいえ、これはプジョー308にも載るシステム。複数名の大人や相応の荷物が加わると、物足りなさを感じそうだ。

パワフルさをお望みなら、プラグイン・ハイブリッドを考えたい。最高出力は194psへ上昇し、電気だけで77km走れる。

少なくとも、3気筒エンジンのフィーリングは素晴らしい。登用期間の長いユニットだが、洗練され静か。鋭い加速を求めると少しにぎやかでも、高速巡航時にノイズが目立つことはない。6速ATとの相性も良く、変速は気付かないうちに終わっている。

操縦性も、大きめのSUVとしては素晴らしい。カーブを積極的に攻めればボディは外側へ傾くものの、だらしなくなることはない。

ステアリングホイールは低い速度域で軽く、5008をひと回り小さく感じさせる。速度域が高くなると重みが増し、安心感が高まる。反応はダイレクトで正確だから、車線の中央も維持しやすい。相当な速度で曲がれば、アンダーステアが出るとはいえ。

ユーザーのニーズをくまなく満たす実力派

ドライブモードは3種類。エコ・モードでは、アクセルレスポンスが優しくなり、エアコンの効きも抑えめになる。スポーツ・モードは、ステアリングやダンパーが引き締まる。コンフォート・モードが、5008 ハイブリットのベストだろう。

乗り心地はしなやかだが、やや落ち着きが足りない印象。市街地の速度域では、19インチの大きなホイールでも、タイヤのサイドウォールが厚く充分に快適といえる。 段差などを超えると、車内でノイズが反響し、実際より揺れが強く感じられた。

プジョー5008 ハイブリット(英国仕様)
プジョー5008 ハイブリット(英国仕様)

高速道路では、風切り音が大きめ。ロードノイズも小さくないが、このサイズのSUVでは避けがたいものではある。燃費は、今回の平均で15.6km/L。カタログ値より劣るが、悪い数字ではないだろう。

英国では、同等装備のライバルより残価設定型プランの月払い額が小さい。8年間か16万kmまでの保証を付帯できるのも強みだ。

大きめのファミリーカーを検討するユーザーのニーズを、くまなく満たす5008。エキサイティングなプジョーではなくても、洗練され高効率なパワートレインと実用的なキャビン、正確な操縦性や運転のしやすさで、多くの人の共感を得るはず。

もう少しのパワフルさや、乗り心地など、気になる点はゼロではない。それでも、7シーターのSUVとして実力は高い。

◯:ダイレクトで安定したステアリング 広く実用的なキャビン 洗練された3気筒エンジン
△:やや快適性で劣る3列目 直感的とはいいにくいインフォテインメント・システム やや物足りない動力性能

プジョー5008 ハイブリット(英国仕様)のスペック

英国価格:4万860ポンド(約785万円)
全長:4790mm
全幅:1890mm
全高:1690mm
最高速度:197km/h
0-100km/h加速:11.3秒
燃費:18.6km/L
CO2排出量:122g/km
車両重量:1705kg
パワートレイン:直列3気筒1199cc ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:135ps/5500rpm
最大トルク:23.4kg-m/1750rpm
ギアボックス:6速デュアルクラッチ・オートマティック(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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