【待望のラインナップ】セレナe-POWER車に4WD追加 日産自慢の「e-4ORCE」搭載

公開 : 2024.10.03 10:00

日産の主力ミニバン、セレナに新たなパワートレインが追加。それが『e-4ORCE』です。2022年から販売されているセレナには、これまでe-POWERに4WDが用意されていませんでした。積雪地域に住む長年のセレナユーザーや日産ディーラーにとっては待望のラインナップ追加と言えそうです。

セレナ待望のe-POWER 4WDはe-4ORCEで

セレナは人気の高いミニバンだ。2022年11月の現行モデル発表以降、現時点での受注台数は15万台を突破している。

販売から時間が経過しても人気は衰えることはなく、2023年度下期及び2024年上期でも、6人乗り以上のミニバンで販売台数No.1となっている。

9月9日に新色クリスタルブラウンが追加されるなど、仕様が変更されたセレナ。これに今回新たにe-4ORCEが追加される。
9月9日に新色クリスタルブラウンが追加されるなど、仕様が変更されたセレナ。これに今回新たにe-4ORCEが追加される。    日産

そんな人気のセレナだが、欠点がない訳ではなかった。人気のパワーユニットであるe-POWERを搭載した4WDグレードが無かったのだ。

セレナが人気の理由は多くあるが、そのうちのひとつに、エンジンで発電してモーターで駆動する『e-POWER』が好評なことがある。電動車特有のスムーズでシームレスな走り、そして高い静粛性は、家族で乗るミニバンとの親和性も高い。

しかし、今までのセレナで4WDを有していたのはエンジン車のみ。実際、積雪地域を中心に、e-POWERの4WDを望む声は強かったそうだ。

そんな中、満を持して今回セレナのe-POWER車に4WDが追加された。それも、日産が有する先進的な4WDシステムである「e-4ORCE」だ。「e-4ORCE」は前後のモーターとブレーキを統合制御する4WDシステムで、舗装路はもちろん、ウエット路面からスノーロードまで、あらゆる路面で高い安定性を実現している。

パワーユニットにe-POWERを有しているコンパクトカーのノートにも4WDはラインアップされているが、こちらはe-4ORCEではなくリアに最高出力50kWのモーターを搭載する電動式4WDだ。モーターの前後独立制御は行われているが、ブレーキとの統合制御は行われていない。

エクストレイルアリアなどの上級モデルで採用されているe-4ORCEが、ミドルクラスミニバンのセレナにラインナップされたことは驚かされた。

セレナに採用されたe-4ORCEの詳細

セレナに採用されたe-4ORCEは、フロントに最高出力120kW、最大トルク315Nm、リアに最高出力60kW、最大トルク195Nmのモーターを搭載。これをブレーキと統合制御することで、各輪の駆動力を最適にコントロールする。

e-4ORCE車には新たにSNOWモードが追加された。これにより深雪からもより確実に脱出することが出来る。もちろん、雪道の登坂やコーナーでも高い安定性を有している。アクセルオフ時に回生量を自動的にコントロールして、下り坂でも安定した減速を実現。コーナリング時は各タイヤのグリップ限界を計算し、4輪の駆動力と制動力(ブレーキ)を最適に制御して、積雪路でもドライバーに安心感を与えるフィーリングとなっているのだ。

セレナで人気のパワーユニットであるe-POWER。しかしこれまでe-POWERで4WDは設定されていなかった。積雪地域を中心とした販売現場でも待望の追加と言えるだろう。
セレナで人気のパワーユニットであるe-POWER。しかしこれまでe-POWERで4WDは設定されていなかった。積雪地域を中心とした販売現場でも待望の追加と言えるだろう。    日産

e-4ORCEは乗り心地にも寄与しており、2WDのe-POWERと比べて、減速時とコーナリング時の頭部の前後左右の動きを10%低減している。また、前後重量配分は53:47となっていて、乗り心地と走り、どちらの進化も期待が持てそうだ。

e-4ORCEになってもセレナの魅力のひとつであるクラスNo.1の広い室内空間はそのままで、小さくなっているがラゲッジアンダーボックスも残されている。これはリアモーターのレイアウトを最適化するために、リアのフロアとサスペンションを新設したからだ。

さらにセレナe-4ORCEの最低地上高は2WDの135mmから150mmに高められており、これはクラスNo.1とのこと。優秀な4WDシステムとクラスNo.1の最低地上高で、雪に最も強いミニバンの誕生となりそうだ。

e-4ORCEが用意されるグレードはX、XV、ハイウェイスターVの3つで、幅広い価格帯でセレナのe-4ORCEを選ぶことが出来る。なお、2WDのe-POWERとの価格差は約35万円ほどだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    西川昇吾

    1997年、富士スピードウェイのほど近くに生まれる。必然的に、モータースポーツとともに幼少期を過ごす。当時愛読した自動車雑誌の記憶に突き動かされ、大学時代から自動車ライターとして活動を開始。卒業後、動画系の自動車媒体に所属したのちフリーとして独立。地元の地の利を生かし、愛車のNBロードスターでのサーキット走行や、多彩なカテゴリーでのレース参戦を積極的にこなす、血気盛んな若手モータージャーナリスト。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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