「当たり前」すぎる存在 コルサで小さな自動車博物館を巡る(1) コンパクトカーの楽しさを再実感

公開 : 2024.10.19 09:45

英国で堅調に売れ続けるコルサで、小さな自動車博物館を巡る旅 自分にとって当たり前すぎる存在 コンパクトカーの楽しさを改めて実感 読者も英国旅行の際に訪問してみては?

自分にとって当たり前すぎる存在:コルサ

英国で堅調に売れ続けているクルマの1つが、ヴォグゾールオペル)・コルサ。日本でもかつて売られていた、小さなハッチバックだ。

間違いなく、筆者は毎日のようにコルサを目にしている。しかし、そのことを考えたことは、しばらくないように思う。頻繁に目撃する、テスラモデル3BMW 3シリーズ、ミニなどは、ふとした瞬間に思い浮かべるのに。

ヴォグゾール(オペル)・コルサ 1.2ターボ・ハイブリッド 100PS GS(英国仕様)
ヴォグゾール(オペル)・コルサ 1.2ターボ・ハイブリッド 100PS GS(英国仕様)

自分にとって、当たり前すぎる存在なのかもしれない。使い慣れた、特に珍しくないティーカップのように。知らず知らずのうちに、過小評価していたようだ。

そんなことへ気付いたら、最新のコルサに乗ってみたくなった。この機会に、あまり訪れることのない場所を訪問しようとも考えた。自分が過小評価してしまっている、小さな自動車博物館へ。

グレートブリテン島南部にある、国立自動車博物館にはしばしば伺う。同僚のスティーブ・クロップリーが理事で、そこでポッドキャストの収録をする機会が多いから。だが、会議室へ向かう途中で珍しいクルマを横切るが、眺めている余裕は大抵ない。

アトウェル・ウィルソン自動車博物館へ

というわけで、筆者はヴォグゾールからコルサをお借りした。ハイブリッドのGSというグレードだ。1.2L 3気筒エンジンに、電圧48Vの電気モーターと6速デュアルクラッチATが組み合わされている。燃費は22.2km/Lとかなりいい。

英国価格は2万5280ポンド(約485万円)。このくらいのモデルが、1万5000ポンド(約288万円)以下で買えていたのは、何年前までだろう。

アトウェル・ウィルソン自動車博物館の様子
アトウェル・ウィルソン自動車博物館の様子

最初に向かったのは、ロンドンから西へ160kmほど離れた、ウィルトシャー州にあるアトウェル・ウィルソン自動車博物館。歴史は古く、筆者が6歳の頃に開館しているが、残念なことに今まで訪れたことはなかった。

家屋の裏側に建っていても、看板があるから通り過ぎることはないだろう。牧草地が広がる丘陵地帯に、金属で覆われた小屋がある。そんな控えめな見た目とは裏腹に、中を拝見したらお宝ばかりで感心してしまった。

筆者を迎えてくれたのは、ディレクターの1人、マイケル・ベネット氏。彼は謙虚で、創設者のリチャード・アトウェル氏とハセル・アトウェル氏のことは説明したが、自らに関しては触れなかった。その功績から、ホールへ自分の名前が与えられているのに。

博物館のきっかけとなったクルマは、リチャードが5ポンドで購入した、ビュイック・アルベマールという古いオープンカーだったらしい。それは、今でも展示されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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