最新フェラーリ「12チリンドリ」へ試乗! フロントはデイトナを彷彿 象徴的な至高のFR GT

公開 : 2024.10.03 19:05

FR V12フェラーリの最新作、12チリンドリ 最高出力は830ps デイトナを彷彿とさせるスタイリング 至高のエンジンを管理下に収めるシャシー 快適性も優秀 英編集部が評価

デイトナを彷彿とさせるFRのスタイリング

フェラーリを象徴するような、12(ドーディチ)チリンドリが遂に姿を現した。V型12気筒エンジンをフロントに搭載し、リアタイヤを駆動。812 スーパーファストの後継に当たる、2シーターのグランドツアラーだ。

812 スーパーファストは、ハイパーカーへ近い立ち位置にあった。だがSF90が登場したことで、次期モデルに対する要件は若干緩くなったはず。12チリンドリは、角の取れた仕上がりにあると想像できる。

フェラーリ12チリンドリ(欧州仕様)
フェラーリ12チリンドリ(欧州仕様)

基本的なパッケージングは、前世代と似ている。サスペンションの取り付け部分やドアの開口部などが強化された、アルミニウム製シャシーを採用。6.5L自然吸気ユニットが、エンジンルームの低い位置、フロントタイヤの中心軸より後方に載っている。

トランスミッションは、8速デュアルクラッチ。トランスアクスルで、前後の重量配分は48:52だという。

寸法は全長が4733mm、全幅は2000mm、全高が1292mm。812より76mm長いが、ホイールベースは2700mmで20mm短い。オーバーハングが長く見えないのは、アルミホイールが20インチから21インチへ拡大したこともあるだろう。

スタイリングは、フェラーリ自らが最も美しい時代だと捉える、1950年代や1960年代のモデルへ影響を受けている。筆者も、その考えには同意する。

特にフロントノーズは、365 GTB/4 デイトナを彷彿とさせる。受ける情感的なものまでは、表現されていないとしても。812とは、まったく異なる佇まいだ。

リアにアクティブウイング 最高出力は830ps

ルーフはブラックで、ガラス面積が大きい。シンプルで張りのある面構成は、フェラーリの主張通り近未来的。モーガン・スーパー3へ似た雰囲気もある。

テールゲートを挟むリアの両端には、アクティブウイングが備わり、一定の速度や加速度で立ち上がる。手動で動かすことはできない。覗かないと見えないボディ底面には、アクティブフラップが備わる。

フェラーリ12チリンドリ(欧州仕様)
フェラーリ12チリンドリ(欧州仕様)

情報によれば、249km/hでの走行時に、ウイングは50kgのマイナスリフトを生むとのこと。それ以外のダウンフォースなどは、明らかになっていない。リアの中央部分にはウイングが備わらず、テールゲートを軽くしている。

巨大なワンピースのボンネットを開くと、V12エンジンが後方へ押し込まれているのがわかる。フロントタイヤも顕になり、レーシングカーっぽくもある。

812 コンペティツィオーネからの進化版で、最高出力は830ps/9250rpm。レッドラインは、圧巻の9500rpmに設定される。最大トルクは、1.3kg-m低い69.0kg-m/7250rpmだ。

車重は非公開だが、乾燥重量は1560kg。トランスミッションが8速化され、僅かに重くなったらしい。ちなみに前世代をガソリン満タンで計測したところ、1725kgだった。

ギア比はSF90と同値。0-100km/h加速は2.9秒で、0-200km/hは7.9秒。これは、812 スーパーファストと同値。2本のリアタイヤが830psを受け止めるから、これ以上縮めるのは難しいのだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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