フォード・モンデオTDCi 180 タイタニウム

公開 : 2015.01.21 23:30  更新 : 2017.05.29 18:54

したがってパッケージとしてはかなり魅力的ではあるけれど、周りを見わたせば新型のフォルクスワーゲンパサートや新エンジンを載せたヴォグゾール・インシグニア、プジョー508などの実力者がひしめいている。

これに加えて、社用車=セダンという定石も、SUVの影響で崩れつつあるのが世の中の流れだ。スモール・プレミアム・サルーンが、スペースを広げつつあるライバルにどのような戦略を仕掛けるかを見ていくことにしよう。

■どんな感じ?

まずはじめに感じたのは、かなりの距離を走ったとしても疲れることがないということ。高速道路を走らせても車内はしんと静まりかえっており、ウインド・ノイズやロード・ノイズによる苛立ちとは無縁の世界であった。よって181psを発揮する2.0ℓディーゼルの騒音に関する作り込みは合格であるといえる。

ではパワーや経済性の観点ではどうか? 意図的に強くガス・ペダルを踏んでみても、加速に不満を感じることは全くなかった。さらに現実的なルートを走らせた際の燃費は優に17km/ℓ後半をマークしたことから、こちらに関しても合格点をあげていいのではないだろうか。

厳密には ’速い’ というよりも、’活発’ あるいは ’力強い’ という表現が適切な類ではあるけれど、181ps/40.8kg-mのこのユニットでさえかなりの瞬発なのだから、今年末に加わる210ps/45.9kg-mのツインターボ版2.0ℓ TDCIがどれほどの力を発揮するのかが今から楽しみだ。

3つのモードすべてにおいて、高速道路の速度域ではかなり安定している。ドイツのライバル勢のほとんどすべてを凌駕しているといっても差し支えないくらいだ。市街地ではいくぶんゴツンとした衝撃を感じることになるけれど、こちらの抑えこみもまたお見事である。

標準のダンパーを組み合わせたモデルも試してみたところ、こちらの場合はバンピーな英国の道ではややボディをの上下動を許す印象。ただし快適であることには変わりなく、速度が増せば増すほどフォードらしいコーナリングの楽しみも与えてくれた。

他のサルーンならば、極力柔らかくバンプを乗り越えるような仕立てにするところを、フォードは快適性を損なわないところで、凹凸をギュッと押し込める、コシのあるいなしに徹する印象だ。

ただし高速域の安定性が、すべてにおいて良好な結果をもたらしているわけではない。現にわずかながらにハンドリングのシャープさが欠けているうえ、正確性や機敏さも劣っているように感じる。

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