VW傘下のスコダ、EV減速でエンジン車販売を延長へ 「消費者ニーズに応える」とCEO
公開 : 2024.10.07 18:05
VWグループ傘下のスコダは欧州におけるEV販売の低迷を受け、一部の新型EVの発売を延期した。一方で、エンジン車の販売期間を当初予定よりも長くする。
EV戦略にブレーキ
フォルクスワーゲン・グループ傘下のスコダは、欧州全域でEV需要が減少していることを受け、新型EVの発売を一部延期し、小型エンジン車の販売期間を延長した。
チェコに本拠を構えるスコダは、これまで今後2年間で6車種の新型EVを発売する予定だった。すなわち、SUVの「エルロック」と「エピック」、「ビジョン7S」コンセプトの市販版、全長4.7m級のステーションワゴン、そして改良型の「エンヤク」および「エンヤク・クーペ」だ。
しかし現在、現行「オクタビア」の後継車とされるステーションワゴンに関しては、2027年後半または2028年まで延期することが決定している。
スコダのクラウス・ツェルマーCEOはAUTOCARの取材に対し、「正直に言うと、バッテリーEVへの転換が遅れているため、(タイムラインを)再検討しています」と語った。
「これら(上記)の新型車の順序をチェックしています。現在は、エンヤク・クーペ、エルロック、その次がエピック、その次がSUVで、コンセプトカーをご覧いただいたビジョン7Sです。その後は、2027年か2028年になるかもしれませんが、オクタヴィアのステーションワゴンを目指しています」
一方、ガソリンエンジン搭載のBセグメント・ハッチバック「ファビア」、クロスオーバー「カミック」、Cセグメント・ハッチバック「スカーラ」は、2030年まで販売が続けられる。
ツェルマーCEOは、「当初、2027年までにファビア、カミーク、スカーラを廃止する予定でしたが、(EV販売の)減速が今まさに起こっているため、これらの車種を2020年代末まで存続することを承認しました」と言う。
欧州自動車工業会(ACEA)の統計によると、同地域の新車市場(欧州自由貿易連合と英国を含む)に占めるEVのシェアは、2023年1月から8月までの15.1%から、今年の同時期には14.0%に低下した。
販売減少の要因は?
「当社は常に、我々が正しいと考える交通手段やドライブトレインではなく、消費者が求めるものに応える姿勢を貫いてきました。常に可能な限りフレキシブルに対応するよう努める考えでした」とツェルマーCEOは言う。
同CEOはEVの販売台数減少の原因として、充電インフラの不備、航続距離への不安、電気料金、EVの価格が著しく高いことなど、さまざまな要因を挙げている。
実際、スコダのマーケティング責任者であるマーティン・ヤーン氏は、新型エルロック(10月1日発表)では利益率を犠牲にして、好調な売れ行きを担保できる価格設定にしていることを認めた。これにより、同社の2025年のCO2排出量目標を達成できるようにしているという。
ヤーン氏は新型エルロックについて、「当社のラインナップの中で最も利益率の高いクルマではないことは認めます。将来的にEVの利益率を高めるためには、コスト、特にバッテリーコストに取り組んでいく必要があります」と語った。
ツェルマーCEOはまた、EV販売拡大の障壁として、ボディスタイルの多様性の欠如を指摘した。
「わたしがいつも言っていることですが、人々は最も必要性の低い目的のためにクルマを購入するのです。イケア(IKEA)に行ったときに、巨大な衣装ケースを積まなければならないから、ワゴン車を買うのです」
「航続距離不安もそうですが、これは完全に感情的なもので、理性的なものではありません。普段から560km以上を走る人はどれだけいるでしょうか? たとえそうだとしても、途中で1回充電して、バッテリーを30%から60%まで充電すれば、15分もかからずに出発できる。それで問題ありません」
「習慣は変わりつつありますが、人々はまだバッテリーEVに対する行動を変えるのは難しいと感じています。そのため、準備する時間が必要です。だからこそ、当社は代替案を提供するのです」