7座も選べる人気者! シトロエン・ベルランゴへ試乗 どの席でも広々 優れた操縦性と快適性

公開 : 2024.10.16 19:05

シトロエンの人気者、ワンボックスのベルランゴがフェイスリフト 未塗装の樹脂トリムに便利なスライドドア 広々な車内空間に優れた乗り心地 ロングの7シーターも 英編集部が評価

ロングボディの7シーターも選べるベルランゴ

英国の一般道を30分も運転すれば、シトロエン・ベルランゴの多さに気付く。ステランティス・グループは巧みにモデル展開しており、すれ違ったのはプジョー・リフターだったかもしれないが。

ヘッドライトとフロントバンパー、エンブレムを付け替えて、K9系のベルランゴは複数のブランドから提供されている。プジョーだけでなく、英国オペルヴォグゾールフィアット、そしてトヨタからも。

シトロエン・ベルランゴ(欧州仕様)
シトロエン・ベルランゴ(欧州仕様)

ワンボックスのファミリーカーだけでなく、商用バンもある。箱型ボディとスライドドア、大きなテールゲートを備えるから、実用性は間違いない。シトロエンC4 スペースツアラーが好きだった人には、四角すぎるかもしれないが。

英国で選べるパワートレインは、ガソリンエンジンが1種類と、ディーゼルエンジンが2種類。バッテリーEVのe-ベルランゴもある。5シーターに加えて、ロングボディの7シーターが用意されているのも強みだろう。

未塗装の樹脂トリム 便利なスライドドア

そんな人気者のベルランゴは、2024年にフェイスリフトを受けた。一気にハンサムになったわけではないが、楕円形の新しいエンブレムの付いたフロントバンパーと、凛々しいヘッドライトを獲得している。

これ意外は、微調整を受けた程度。そもそも使い勝手に不足はなく、プレス用金型へコストを掛けず、価格上昇を避けたといえる。だが、個性派として歴史を重ねてきたブランドだけに、少し寂しく感じるのは筆者だけだろうか。

シトロエン・ベルランゴ(欧州仕様)
シトロエン・ベルランゴ(欧州仕様)

リアのスライドドアは、隣のクルマへドアパンチする心配がなく好ましい。だが、体力の落ちた年配には若干重たい。そのサイドウインドウは、英国仕様の安価なグレードでは、ヒンジで少し浮く程度になる。

大きなテールゲートは、荷物を積みやすいものの、狭い駐車場では開きにくい場面も。高価なグレードを選ぶと、リアガラス部分だけを開閉できるようになる。

バンパーやボディサイドには、未塗装の樹脂トリム。うっかり擦っても、簡単に修理できるのがメリットだ。

プラットフォームは、前半分がシトロエンC5 エアクロスも採用する、最新のEMP2。後ろ半分は、先代のベルランゴの改良版となっている。

どの列でも広い車内空間 乗用車的な運転姿勢

車内は、見た目通りの大空間。特に7シーター版では、その奥行に感心する。3列目のシートは、不要なら両サイドに折りたたむことが可能。置き場があるなら、クルマから降ろすこともできる。

どの列でも、足元や頭上の空間はかなり広い。ワンボックスのシルエットでも、座面の高さは一般的なハッチバック並み。ハロウィンのコスプレでシルクハットを被ったままでも、問題なく座れそうだ。

シトロエン・ベルランゴ(欧州仕様)
シトロエン・ベルランゴ(欧州仕様)

5シーターの場合、荷物ラック付きのパノラミック・ガラスルーフ、モデュトップを指定すると、開放感は更に増す。間接照明も素敵だ。モデュトップなしでも、車内には28か所の収納があるとシトロエンは主張する。その容量は、合計で186Lになるという。

英国仕様の場合、法的な理由で荷室との境目にスチール製のフェンスが備わる。それでも、5シーター版の荷室容量は775L。後席を畳めば、1255Lへ広がる。フロアの位置は低く、重い荷物を載せやすい。

運転姿勢は、商用車由来でありながら乗用車ライク。MTの場合、シフトレバーの位置が高く手を伸ばしやすいものの、変速時のフィーリングは今ひとつ。ATの方が、筆者は好印象だった。

インフォテインメント・システムは充分に機能的。エアコンなどには、実際に押せるハードスイッチが与えられている。

高級車ではないから、内装は硬めのプラスティックが多く、ボディパネルが露出した部分も。ファミリーカーとしてのタフさで考えれば、不満はないはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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