7座も選べる人気者! シトロエン・ベルランゴへ試乗 どの席でも広々 優れた操縦性と快適性

公開 : 2024.10.16 19:05

好感触な1.2Lガソリン 万能選手的な1.5Lディーゼル

公道を走らせれば、1.2L 3気筒ガソリンエンジンの好感触ぶりに嬉しくなる。2000rpm以下から滑らかに回り、3000rpmから4000rpmでは小さな排気量を感じさせないほどパワフル。それ以上引っ張っても、加速が鋭くなるわけではないけれど。

最高出力は110psだが、0-100km/h加速は11.5秒とまずまず。英国仕様では、6速MTのみの設定となる。

シトロエン・ベルランゴ(欧州仕様)
シトロエンベルランゴ(欧州仕様)

これ以上に好ましいのが、2種類のディーゼル。1.5L 4気筒で、102psと130psから選択できる。前者の場合、0-100km/h加速は14.1秒だが、粘り強く燃費はベルランゴのベストだ。

万能選手的に優れているのは後者。8速ATと組み合わせれば、ベルランゴを安楽に運転できる。高速道路での追い越しにも、余裕が生まれる。

箱型の見た目を裏切るように、乗り心地や操縦性も強み。ハッチバックやSUVとは異なるだけに、通常以上に印象的に感じることも影響しているとは思う。

走行時の浮遊感は小さく安定していて、子どもでもクルマ酔いはしにくいはず。路面の波打ちを均し、細かな凹凸による衝撃も穏やか。柔軟に動くダンパーが、しっかりボディを制御してくれる。乗員や荷物が多くなるほど、しっとり落ち着きは増していく。

予想しやすい操縦性 訴求力を高める多くの特徴

ステアリングは、直進状態を保ちたがる特性はあるものの、反応は予想しやすく正確。低速域で特に軽くなるパーキング・モードは、不要かも。

カーブへ積極的に飛び込めば、アンダーステアが僅かに出るものの、その変化は掴みやすい。右足を緩めれば、狙ったラインへ復帰してくれる。全高とソフトな足回りを踏まえると、ボディロールは想像以上に小さい。

シトロエン・ベルランゴ(欧州仕様)
シトロエン・ベルランゴ(欧州仕様)

アルミホイールは、16インチか17インチと最近では小さめ。乗り心地にプラスといえ、タイヤ交換の費用も抑えられる。

燃費は、110psのガソリンで13.5-16.1km/L。102psのディーゼルでは16.4-19.4km/Lへ伸びる。130psのディーゼルでも、15.4-18.3km/Lだ。

商用バンとの近さを気にしなければ、快適で実用的なファミリーカーとして、ベルランゴは一家を楽しませてくれるはず。賢明なデザインのインテリアや便利なスライドドアなど、多くの特徴が訴求力を高めている。

数年前ほど安いわけではないが、英国価格は約2万3000ポンド(約442万円)から。最大限にベルランゴを活用したいなら、7シーターが好適だろう。バッテリーEVのe-ベルランゴも有能だが、ハイブリッドが登場すれば、一層歓迎されるに違いない。

◯:広大な車内空間 知的なデザインの収納 快適な乗り心地
△:英国仕様に付くスチール製のフェンス パワートレインの選択肢が少ない

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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