782psのHV 4代目 ベントレー・コンチネンタルGT スピードへ試乗 スーパーカー ✕ グランドツアラー

公開 : 2024.10.18 19:05

白眉の能力が拡幅 至ってスムーズでパワフル

スタイリングは、3代目の流れを汲むもの。古びていたわけではなく、リフレッシュには苦労したようだ。コストの掛かるパネル類は、基本的にキャリーオーバー。前後の造形へ手を加えることで、しっかり新世代だと感じる雰囲気にある。

アイラインが与えられたヘッドライトは、70年以上ぶりに2灯となった。テールライトはワイドになり、テールパイプも新しい。トランクリッドにはアクティブウイングが備わらず、ピンと吊り上がった形状で、優れた空力特性を実現している。

ベントレー・コンチネンタルGT スピード(欧州仕様)
ベントレー・コンチネンタルGT スピード(欧州仕様)

アルミホイールは22インチ。モダンさを協調するデザインだと思う。

走らせてみれば、白眉の能力が拡幅されたことは明らか。デフォルトでは、コンチネンタルGT スピードは電気だけで発進する。ロードノイズはほぼ聞こえず、乗り心地は極めて平滑。平穏な走りに心が奪われる。

スポーツ・モードへ切り替えると、ターボで過給されるV8エンジンのサウンドを堪能できる。人工的な増強感はない。

至ってスムーズでありながら、昔のようにパワフル。ハイブリッド・ドライブを選ぶと、妥協は最小限に、エネルギーを知的に節約してくれる。

8速デュアルクラッチATの変速は、驚くほどシームレス。ギアが変わる継ぎ目を、駆動用モーターが補完し、感じ取れるのはサウンドの変化だけといえる。

新サスペンションが生む鋭い操縦性

4代目最大の強みは、ツインチャンバー・エアスプリングとダンパーが実現させた操縦性だろう。ステアリングホイールの重み付けは完璧といえ、前後の重量配分の理想化によって、回頭性は従来以上にシャープ。確かに、僅かなオーバーステアも感取できる。

かといって、リアタイヤが暴れるような素振りは皆無。どんなに振り回しても、乗り心地は落ち着きを乱さない。

ベントレー・コンチネンタルGT スピード(欧州仕様)
ベントレー・コンチネンタルGT スピード(欧州仕様)

782psのスーパーカー的でありつつ、ラグジュアリーでコンフォートなグランドツアラークーペでもある、コンチネンタルGT。そこへ優れたエネルギー効率が掛け合わさることで、一層訴求力は強まったといえる。

ベントレー・コンチネンタルGT スピード(欧州仕様)のスペック

英国価格:23万6600ポンド(約4543万円)
全長:4895mm
全幅:1966mm
全高:1397mm
最高速度:334km/h
0-100km/h加速:3.2秒
燃費:76.8km/L
CO2排出量:29g/km
車両重量:2459kg
パワートレイン:V型8気筒3996cc ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:25.9kWh
最高出力:782ps(システム総合)
最大トルク:101.8kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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