充実装備の「おしゃれ」コンパクトSUV 実用性重視の新型「インスター」登場 ヒョンデ初、欧州向け小型EV

公開 : 2024.10.08 06:25

ヒョンデは新型EV「インスター」を欧州で発表した。全長3.8mとコンパクトでありながら、広い室内空間と充実した標準装備、運転支援システムを特徴とする。英国価格は2万3495ポンド(約450万円)から。

若い世代と50代以上のユーザーがターゲット

韓国のヒョンデは10月3日、新型EV「インスター(Inster)」を欧州で発表した。航続距離350kmの4人乗りSUVで、右ハンドルの英国価格は2万3495ポンド(約450万円)から。

ボディサイズは全長3.8m、全幅1.6m、全高1.6m。韓国国内で販売されているガソリンエンジン車「キャスパー」をベースにしており、駆動用バッテリーを載せるためにプラットフォームが230mm延長された。

ヒョンデ・インスター
ヒョンデ・インスター

ヒョンデの関係者は、コンパクトなサイズでありながら、パッケージングを工夫することで実用性を高めたと述べている。例えば、ホイールベースはBセグメントのヒョンデi20とほぼ同じで、各シートは完全にフラットに折りたたむことができ、後部座席もスライドとリクライニングが可能だ。

欧州では当初2種類のモデルが用意される。エントリーモデルには最高出力97psのフロントモーターを搭載し、0-100km/h加速は11.7秒、最高速度は140km/hとなる。容量42kWhのバッテリーにより、航続距離は300kmと謳われている。

上位モデルの「ロングレンジ」は最高出力115ps、容量49kWhにパワーアップされ、航続距離は350km、最高速度150km/h、0-100km/h加速は10.6秒となる。

いずれもバッテリーの正極材にはニッケル・マンガン・コバルト(NMC)を採用。全車、ヒートポンプと最大85kW(DC)の充電機能が標準装備される。

こうした仕様は、欧州の同クラスのライバル車とほぼ同等だが、インスターは装備の充実さとコネクティビティを強みとする。

10.25インチのインストゥルメント・パネルとインフォテインメント・タッチスクリーンが標準装備されるほか、スマートフォンを「キー」として使用してロック解除や始動ができる。

さらに、360度パーキングカメラ、アダプティブ・クルーズ・コントロール、ヒョンデ独自のブラインドスポットモニターなど、先進運転支援システム(ADAS)一式も搭載されている。ブランドスポットモニターは、方向指示器を使用する際にインストゥルメント・パネル上に側面後方のカメラ映像を映し出すものだ。

欧州では来春までに納車開始予定だ。

ヒョンデ・モーター・ヨーロッパ(欧州部門)の商品企画マネージャー、パオロ・グネロ氏は、「アーリーアダプターだけでなく、マスマーケット向けにも電動化を開始できると考えています」と語った。

グネロ氏は、インスターで主なターゲットにしているのは2つの新しいタイプの顧客だと説明する。初めて新車を購入するような「若い世代」と、簡単な用事を済ませるためのセカンドカーが欲しい「エンプティネスター(50代を中心とする、子供が家を離れた)世代」だ。

グネロ氏はEVに対する顧客行動の変化を指摘し、インスターは従来のサイズに縛られずに販売できるだろうと言う。

「彼ら(顧客)は『これは全長3.8mのクルマだから、Aセグメントだ』という風には言いません。彼らはサイズに関係なく、航続距離によってクルマをセグメント化しています。彼らにとって、航続距離350kmのクルマは、サイズに関係なく、別の350kmのクルマと同等なのです」

記事に関わった人々

  • チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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