ブラボー! 最新 ルノー5 E-テックへ試乗 電動で蘇った「サンク」 クーパー Eの真のライバル

公開 : 2024.10.07 19:05

普段使いで驚くほど快適な走り アルピーヌ仕様も

パワートレインは、119psの駆動用モーターに40kWhの駆動用バッテリーという組み合わせと、150psに52kWhの組み合わせの2択。航続距離は前者で305km、今回試乗した後者で402kmがうたわれる。

運転体験はホットハッチ的ではない。硬めの乗り心地ですばしっこいというより、普段使いで驚くほど快適。市民の足になるハッチバックとして、悪い設定ではないと思う。

ルノー5 E-テック・エレクトリック 150HP コンフォートレンジ・テクノ(欧州仕様)
ルノー5 E-テック・エレクトリック 150HP コンフォートレンジ・テクノ(欧州仕様)

動力性能は、過不足ない水準。フロントタイヤがむずがるほど、鋭い加速は披露しない。0-100km/h加速は8.0秒で、80km/hを過ぎると勢いは低下していく。

ブレーキの反応は素晴らしい。ペダルの感触は一貫性が高く、筆者が試乗したバッテリーEVの中でも最高水準だろう。回生ブレーキと摩擦ブレーキの協調性が高く、引き継ぎはシームレスだ。

乗り心地は非常にしなやか。アスファルトが剥がれた穴も、速度抑止用のスピードバンプも、滑らかに乗り越える。同時に、高速道路での安定性も素晴らしい。AUTOCARが2024年のベスト・コンパクトカーに選んだ、ルーテシアと共通する強みだ。

操縦性は軽快で、漸進的なステアリングを活かし、市街地を爽快に駆け回れる。ただし、速度上昇とともにアンダーステアが強くなり、回頭性が緩く感じられるようになる。高めの速度域では、クーパー Eの方が楽しい。

とはいえ洗練性は高く、運転がつまらないわけではない。追って、218psのアルピーヌ仕様も控えている。専用サスとブレーキでシャシーを強化し、ホットに仕立てる余地は充分にある。

現実の航続距離は320km クーパー Eのライバル

筆者が試乗したのはデンマーク郊外だったが、過ごしやすい天気での航続距離は約320km。気温の違いでどう変化するのか、改めて確かめる必要はありそうだ。

トリムグレードは、エボリューション、テクノ、アイコニックの3段階。インテリアのカラーは、グレードによって決まるという。

ルノー5 E-テック・エレクトリック 150HP コンフォートレンジ・テクノ(欧州仕様)
ルノー5 E-テック・エレクトリック 150HP コンフォートレンジ・テクノ(欧州仕様)

英国価格は、エボリューション・グレードで約2万3000ポンド(約442万円)からが見込まれる。クーパー Eは約3万ポンド(約576万円)からだから、お手頃に設定されるようだ。

特別仕様として、テニスの全仏オープンとコラボレーションした、ローラン・ギャロス仕様も発表済み。テニスコートをイメージした色の、カーペットが特徴となる。

歴史的で象徴的なモデルを、巧みに現代へ蘇らせたルノー。AUTOCARでは、このアプローチを高く評価したいと思う。

魅力的なデザインと快適性重視の走りは、非常に好ましい。心地良いシートや、内装とタッチモニターとのバランスも良い。普段使いのクルマとして、過度にスポーティである必要はないだろう。

クーパー Eの本当のライバルが、いよいよ登場した。ブラボー、ルノーリューション!

◯:優れた乗り心地 コストパフォーマンスの高さ インテリアデザイン
△:やや短めの航続距離 高速域での動力性能の低下 狭めのリアシート

ルノー5 E-テック・エレクトリック 150HP コンフォートレンジ・テクノ(欧州仕様)のスペック

英国価格:約2万7000ポンド(約518万円/予想)
全長:3920mm
全幅:1770mm
全高:1500mm
最高速度:149km/h
0-100km/h加速:8.0秒
航続距離:402km
電費:6.7km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1449kg
パワートレイン:AC同期モーター
駆動用バッテリー:52kWh
急速充電能力:100kW
最高出力:150ps
最大トルク:24.9kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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