マクラーレン、1275馬力のV8ハイブリッドに “地面効果” エアロ採用 新型「W1」約3億8800万円から

公開 : 2024.10.08 06:05

レーシングカーのようなエアロ

W1はロードカー(公道走行可能なモデル)でありながら、アンダーボディのデザインによりF1マシンのようなグラウンド・エフェクトを獲得した。

先進的な可変エアロを備えており、後方に300mm伸びるアクティブ・ロングテールというリアウィングは、アンダーフロアやリアディフューザーと連携して、ドラッグを増やすことなく追加のダウンフォースを生み出す。

マクラーレンW1
マクラーレンW1    マクラーレン

この機能はサーキットでのみ使用可能だ。エアロの最も過激なセッティングである「レース(Race)」モードでは、フロントで350kg、リアで650kg、合計1000kgのダウンフォースを発生する。高速コーナリング時の安定性と予測可能性を高め、これによってナルド・サーキット(マクラーレンの基準コース)をセナより3秒速く周回できるという。

エアロパッケージの出発点となるのは、中央のエアロセル・カーボンファイバー・モノコックである。これを中心にクルマが作られ、キャビンの2つのシートを統合してホイールベースを短くしている。

エンジンのマウントからサスペンションの設計に至るまで、W1のほとんどすべての部品と取り付けは、空力性能を念頭に置いて行われている。そのため、ドアはマクラーレンとして初めてディヘドラル式ではなくアンヘドラル式となっており、P1でおなじみのルーフのエアスクープは、リアへの流れを整える役割を果たす。

公道走行用のロードモードでは、フロントウィングが格納され、ロングテール・リアウィングもボディと一体化する。

一般道での走行も「スムーズ」に

マクラーレンは、W1を語る上で重要なのは、日常的な速度や路面状況に対応する能力だと言う。

マクラーレン・レース・アクティブ・シャシー・コントロールIIIと呼ばれる、レースで培われたダブルウィッシュボーン式サスペンションの設計を採用。一般道での快適なドライビングからサーキットでの圧倒的なパフォーマンスまで、幅広い範囲をカバーするように設計されている。

マクラーレンW1
マクラーレンW1    マクラーレン

「コンフォート」、「スポーツ」、「レース」、「レース+」の各モードが選択可能だ。コンフォートは 「スムーズな乗り心地」に重点を置き、レースとレース+はサーキットでの性能ポテンシャルを最大限に引き出す。

モード設定によって車高も調整される。プッシュロッドもマクラーレン初となる機構で、フロントではF1のノウハウを生かしたインボードダンパーと連動して空気の流れを整え、リアではアウトボードスプリングとダンパーを使用する。

構造にはチタニウムが使用されるほか、軽量化を追求するためにサスペンション部品は一部3Dプリントで生産される。

ステアリングは油圧式で、ブレーキには従来のディスクにセラミック層を追加したカーボンセラミック・レーシング+を装着して制動力をさらに高めている。その制動距離は、100-0km/hで29m、200-0km/hで100mとされる。

タイヤはピレリによるW1専用設計のものを採用し、サーキット走行に特化しながらも公道走行可能なPゼロ・トロフェオRSタイヤと、PゼロRおよびPゼロ・ウィンター2などがある。ホイールはマグネシウム製だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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