優しい眼光で800馬力のHV! ランボルギーニ・ウルス SEへ試乗 ドリフトしたい気持ちを予測?

公開 : 2024.10.08 19:05

ウルスがフェイスリフト V8ツインターボのプラグインHV登場 眼光優しく滑らかなフロント エンジンをモーターが補完し瞬間的レスポンス ラリーカーのように振り回せる 英編集部が評価

4.0L V8ツインターボのプラグインHV

物議を醸しつつ販売では大成功を収めるSUV、ランボルギーニウルスがフェイスリフト。新たに「SE」が登場した。ただし、ミニ・クーパーのSEと異なり、バッテリーEVになったわけではない。

だが電動化技術と無縁ではない。プラットフォームとドライブトレインを共有する、ベントレー・コンチネンタルGT スピードと同じく、プラグイン・ハイブリッドになった。以前より、走行時の環境負荷はある程度抑えられている。

ランボルギーニ・ウルス SE(欧州仕様)
ランボルギーニ・ウルス SE(欧州仕様)

とはいえ、電気だけで走れる距離は最長59km。実際の走行時のCO2排出量は、少なくはなさそうだ。加熱する地球へ本格的に貢献するわけではないが、ランボルギーニのスーパーSUVを延命することはできる。

エンジンのダウンサイジングは選ばれなかった。フロントに載るのは、4.0L V8ツインターボ。最高出力は、650psから620psへ僅かにダウンしている。

そのかわり、8速AT内に駆動用モーターを内蔵。191psの最高出力でアシストする。システム総合の最高出力は、コンチネンタルGT スピードの782psに対し、800psがうたわれる。

増強に合わせて、一層走りがいのあるSUVにも仕立てられた。従来はトルセン式センターデフが組まれていたが、クラッチ式の新しい可変システムが与えられている。

電光石火なパワーデリバリーと、リアアクスルの電子制御LSDも協調し、最適なタイヤへ必要なトルクを即時に伝える。スタビリティやトラクションを高めるだけでなく、条件次第では、リアアクスルを遊ばせることも許す。

眼光優しく滑らかなフロント 車内の変更は小さい

スタイリングは、ヘッドライトがスリムになり、眼光が優しくなった。ボンネットは、フロントノーズの先端まで延長。バンパーとの境目が消え、滑らかな造形を得ている。

リア側も、テールライト・クラスターを変更。ガヤルドのフェイスリフトに、影響を受けたものだという。ナンバープレートの位置は、バンパー側へ移された。アルミホイールは、21インチから23インチまで多彩な選択肢が用意される。

ランボルギーニ・ウルス SE(欧州仕様)
ランボルギーニ・ウルス SE(欧州仕様)

インテリアの変更は小さい。センターコンソールのデザインが新しくなったことと、タッチモニターのサイズが少し大きくなったこと程度。ソフトウエアは、6角形のグラフィックテーマを採用するが、アウディSQ7と基本的には同じだ。

メニュー構造は少し複雑。それでも、充分に機能的といえる。

実際に押せるハードスイッチが削られていない点は、高く評価したい。ランボルギーニは、この触覚的な体験を重視している。ドライブモードなどを選ぶ、タンブーロ・セレクターにもそれは表れている。EVモードへ切り替える時も、カチッと音がする。

レザーは上質で、アルカンターラとカーボンファイバー製トリムが各所を引き締める。21.8kWhと大きめの駆動用バッテリーを積むため、荷室の床面は僅かに持ち上げられたが、依然として実用性は高い。

着座位置は、SUVの割にはかなり低い。ステアリングコラムの調整域が広く、自然な運転姿勢に落ち着ける。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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