こんなにあったの? 「普通」とは一味違う優雅なシューティングブレーク 21選

公開 : 2024.11.03 18:05

普通のクーペやステーションワゴンとは少し違った雰囲気をまとうシューティングブレーク。気品と実用性を両立させた才色兼備なクルマと言えるが、今回は特に素晴らしい21台を紹介したい。

ステーションワゴンとシューティングブレークの違いは?

時代の流れとマーケティングによって本来の意味から遠ざかっている部分もあるが、シューティングブレーク(shooting brake)はスタイリングに気品がなければならない。ほとんどの場合で実用性は二の次とされているが、荷物の積載スペースは確かに広く、便利だ。

一般的には、流線型のボディを持つステーションワゴンのことをシューティングブレークと呼ぶ。もともとは狩猟に使われる特注の車両を指す言葉だが、現在での意味合いは大きく異なっている。

特に印象的なシューティングブレークを英国編集部が厳選した。
特に印象的なシューティングブレークを英国編集部が厳選した。

自動車メーカーが正式に発売することもあれば、第三者のコーチビルダーが既存モデルを改造して作ることもある。少量生産の限定モデルだけでなく、何万台と出荷する量産車もある。ここでは、特に素晴らしいシューティングブレークをいくつかご紹介したい。

アストン マーティンDB5とDB6

アストン マーティン初のシューティングブレークは、「DB」の頭文字で知られるオーナー、デビッド・ブラウン氏のために作られた。身内向けのものだったが、それを見た顧客は自分も欲しいと言い出した。

そこで、アストン マーティンはコーチビルダーのハロルド・ラドフォードを招き、DB5とDB6をベースにシューティングブレークを仕立てた。フロントガラスから後ろがすべて新設計で、頭上のヘッドルームと積載スペースは十分に確保された。

アストン マーティンDB5とDB6
アストン マーティンDB5とDB6

しかし、この改造によって、ただでさえ高額なアストン マーティンの新車価格が50%上乗せされた。DB5が12台、DB6が6台しか生産されなかった理由も納得できる。

フェラーリ330 GT

フェラーリの基準から見ても、この330 GTシューティングブレークはかなりセンセーショナルなスタイルだ。米国のフェラーリ輸入業者の息子であるルイジ・キネッティ・ジュニア氏とアルフレード・ヴィニャーレ氏によって考案され、標準の330をベースに製作された。

残されたオリジナルのボディパーツは、フロントガラスとドアの一部のみ。それ以外はすべて手作りで、もともとはダークメタリックグリーンで仕上げられていた。英国出身のアーティスト、ジャミロクワイのフロントマンであるジェイ・ケイ氏が所有していただが、その後ライトゴールドに塗装された。

フェラーリ330 GT
フェラーリ330 GT

アストン マーティンV8ヴァンテージ

1960年代のDBベースのシューティングブレークを彷彿とさせる、V8ヴァンテージ・スポーツマン・エステート。ルーフ部分をまったく新しいものに変更し、積載スペースを確保した。

スイスのルース・エンジニアリング社が1800時間をかけて製作し、発表時には世界最速のエステート(ステーションワゴン)と称された。オーナーとなったドイツの顧客は、スキー板を車内に積めると主張したが、このクルマが雪の積もったアルプスの道路でどうやって走ったのか、気になるところだ。

アストン マーティンV8ヴァンテージ
アストン マーティンV8ヴァンテージ

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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