1.2L 3気筒ターボ「マイルドHV」登場! 3代目 プジョー3008へ試乗 快適志向の乗り心地と操縦性

公開 : 2024.10.21 19:05

若干力不足なHV マイルドな乗り心地と操縦性

確認はこのくらいにして、いざ発進。1.2Lマイルド・ハイブリッドに、EVモードは備わらない。軽負荷時などにシステムが独自に判断し、電気だけで短距離がまかなわれる。

システムとしては、2代目3008の後期型にも載っていたもので、いくつかの気になる点も受け継いでいる。条件次第でパワー不足を感じることと、高負荷時に洗練度へ影響が出ることだ。

プジョー3008 ハイブリッド136 e-DSC6 アリュール(英国仕様)
プジョー3008 ハイブリッド136 e-DSC6 アリュール(英国仕様)

車重は1573kgあり、0-100km/h加速は10.2秒。これは、約100kg軽かった2代目より、0.2秒のビハインドとなる。

とはいえ、市街地での印象は良い。静かで滑らかに動作し、気を使うことなく混雑した流れへ交われる。エンジンの始動・停止は穏やかで、パワー感も終始スムーズといえる。

一方で郊外に出ると、英国の一般道の制限速度、96km/hを保つには、アクセルペダルを深めに踏むことに。エンジンからは、頑張っている様子がノイズで伝わってくる。

乗り心地や操縦性は、全般的にマイルド。特に乗り心地は、このクラスのベストの1つといえる。稀に衝撃を吸収しきれない場面はあるものの、路面との隔離性は高い。頭がグラつくような揺れは殆どない。

ただし、大径ホイールとサマータイヤの組み合わせでは少し悪化する。インチダウンした、オールシーズン・タイヤとの違いは明らかだった。

ステアリングは正確で、反応を予想しやすく扱いやすい。しかし、ドライバーを誘惑するような感触は乏しい。軽くない車重もあって、若干おっとりした印象を筆者は受けた。ダイナミックな見た目ながら、敏捷性は高くない。

E-3008と同等の静的魅力 充実装備でコスパ高し

燃費は、英国の公道を複合的に走らせて16.5km/Lほど。印象的な数字ではないが、悪くはないだろう。電気モーターの出番が多い低速域では伸びるものの、高速道路では振るわないようだ。

英国価格は、アリュール・グレードで3万4650ポンド(約665万円)から。GTグレードは約3500ポンド(約67万円)上昇するが、英国市場ではこちらの方が人気だと予想されている。このクラスの最安値ではないものの、優れた装備でコスパは高い。

プジョー3008 ハイブリッド136 e-DSC6 アリュール(英国仕様)
プジョー3008 ハイブリッド136 e-DSC6 アリュール(英国仕様)

ちなみに、21インチのモニターパネルは、市場によってはオプション。英国仕様では、他に19インチのアルミホイールとアンビエントライトが標準で付く。

E-3008と同等の静的な魅力を、マイルド・ハイブリッドの3008は備える。車内は快適で上質。車載技術は充実し、車内空間も充分広い。ただし、若干力不足な先代譲りのパワートレインは、さほどエネルギー効率が高いわけではない。

乗り心地や操縦性は快適至高。ファミリーSUVとして妥当な着地点にあるものの、ドライバーを惹きつける走りではないだろう。止まっている時の充足感は、間違いなく高いけれど。

◯:素晴らしいインテリア 便利で賢いショートカットキー 充実した標準装備
△:若干力不足のパワートレイン 平均点程度の燃費

プジョー3008 ハイブリッド136 e-DSC6 アリュール(英国仕様)のスペック

英国価格:3万4650ポンド(約665万円)
全長:4542mm
全幅:1895mm
全高:1641mm
最高速度:201km/h
0-100km/h加速:10.2秒
燃費:15.8-18.6km/L
CO2排出量:122-143g/km
車両重量:1573kg
パワートレイン:直列3気筒1199cc ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:136ps/5500rpm
最大トルク:23.4kg-m/1750rpm
ギアボックス:6速デュアルクラッチ・オートマティック(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事