ポルシェ・タイカン vs ヒョンデ・アイオニック5 N 同予算の電動ドライバーズカー 新車か中古車か?(1)

公開 : 2024.10.22 19:05

現実的な値段の新車と、中古車で安くなった憧れの1台 どちらを選ぶべきか、クルマ好きなら悩んだことがあるテーマでは? 同等予算で狙える有力な2台を、英国編集部が乗り比べ

新車の半額以下で取引される初期のタイカン

懐疑的な感情は理解できる。ポルシェヒョンデが、同じ土俵に並ぶはずはないだろう。かたや、一生に一度は乗ってみたいと考えるような、スポーツカーブランドのワゴン。かたや、長い保証の付いた、賢明なベーシックブランドのハッチバックだ。

一方へ憧れを抱く人は、他方に同じ気持ちを抱くことはないと思う。この2台は、恐らく1つの視野には含まれない。しかし、思いもよらない接点がある。新車と中古車という違いはあるが、英国では同じ価格帯に含まれるという事実だ。

シルバーのポルシェ・タイカン・スポーツツーリスモと、レッドのヒョンデ・アイオニック5 N
シルバーのポルシェ・タイカン・スポーツツーリスモと、レッドのヒョンデ・アイオニック5 N

新車価格が上昇する一方で、中古車価格も変動が大きい。意外なブランドのクルマが、意外な値段で売られていたりする。

今回用意したポルシェ・タイカンの場合、登場したのは4年前。電動のドライバーズカーとして新基準を打ち立て、マイナーチェンジ後でも最高峰の能力を誇っている。

しかし、そんな話題性や実力とは裏腹に、販売は伸び悩んでいる。バッテリーEV全体に共通することとはいえるが。

現在は、初期に購入したオーナーが手放し始めるタイミングと重なり、英国の取引き価格は下降傾向。距離は多少伸びているかもしれないが、僅か数年前のタイカンが、4万ポンド(約768万円)前後で店頭に並んでいる。新車時の、半額以下といっていい。

同等の予算で選べる新車のアイオニック5 N

シルバーのタイカンは、シューティングブレークのスポーツツーリスモ。認定中古車の1年落ちの車両で、走行距離は1万6000kmに過ぎない。初代オーナーが支払った金額は、8万255ポンド以上なはず。オプションを追加するほど、見積もりは上昇する。

現在の売値は、6万5000ポンド(約1248万円)を切る。半額ではなく、安いわけでもないが、かなりの落差といえる。

ヒョンデ・アイオニック5 N(英国仕様)
ヒョンデ・アイオニック5 N(英国仕様)

この予算なら、2024年で1番エキサイティングな電気自動車、ヒョンデ・アイオニック5 Nの新車が手に入る。実は、価格以外の共通点もある。

後方へ伸びたルーフラインと、テールゲートの付いたボディで、ファミリーカーとして実用性は充分。優秀な電気モーターとサスペンションが、速さと安定の身のこなしを実現している。アイオニック5 Nも、電動のドライバーズカーだ。

筋肉質なボディラインに、4963mmの長さと1966mmの幅を持つタイカンだが、視覚的なインパクトでは、シャープな面構成のアイオニック 5へ及ばない。レッドという色も、影響していると思うけれど。

「N」モデルとして与えられた、レーシーなボディキットと21インチ・ホイールに、差し色のピンストライプ。孔雀のように華やかで、自ずと視線を集める。

一見するとコンパクトに見えるが、全長は4715mmあり、小さいわけではない。全幅は1940mmで、タイカンより26mmスリムなだけ。島国の狭い道では、気を使う幅といっていい。

その分、定員5名の車内は広い。内装の質感も、ヒョンデとしては高い。ポルシェの精巧さと上質さには、届かないとしても。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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