フォルクスワーゲン・パサート vs アウディRS6(C6) スペースとスピードの両立 新車か中古車か?(2)

公開 : 2024.10.23 19:05

現実的な値段の新車と、中古車で安くなった憧れの1台 どちらを選ぶべきか、クルマ好きなら悩んだことがあるテーマでは? 同等予算で狙える有力な2台を、英国編集部が乗り比べ

スペースとスピードの両立 長い歴史のRS

スペースとスピードの両立。多くの自動車メーカーが、以前から取り組んできた課題といえる。電動化技術の普及が進む近年でも、それは変わらない。

メルセデスAMG C 63は、ステーションワゴンのボディにパワフルなプラグイン・ハイブリッドを組み合わせた。BMW M5 ツーリングも、同じアプローチを選んでいる。次期アウディRS6も、恐らく強力な電気アシストを得るだろう。

ホワイトのフォルクスワーゲン・パサート 1.5TSI eハイブリッド Rラインと、ブラックのアウディRS6
ホワイトのフォルクスワーゲンパサート 1.5TSI eハイブリッド Rラインと、ブラックのアウディRS6

ここまで高性能・高価格でなくても、電動化技術で走りを補完したステーションワゴンが存在する。例えばフォルクスワーゲンは、プラグイン・ハイブリッドのパサートを発表したばかりだ。

最高出力271psを誇る、eハイブリッド Rラインの英国価格は、5万1170ポンド(約982万円)から。M5 ツーリングの、ほぼ半額で手中に収められる。しかし、この程度の予算を準備すれば、魅力的な中古車も沢山含まれてくる。

スペースとスピードを両立させたモデルなら、アウディのRSシリーズは外すことができない。先日もAUTOCARで振り返ったが、ポルシェの技術を借りたRS2は、2024年で誕生30周年を迎えるという長い歴史を持つ。

その後のRS6は、最高峰のステーションワゴンとして一目置かれてきた。2013年から2018年に提供された先代、C7系は、かなりお買い得なチョイスといえる。モダンなスタイリングで、現行型ほど好戦的でもなく、魅力度では歴代最高水準にある。

ガヤルドにも搭載された5.0L V型10気筒

ただし、内燃エンジン時代が終わろうとしている今、せっかくなら特別なユニットを選びたい。2008年から2010年に提供されたC6系のRS6には、ランボルギーニ・ガヤルドにも搭載されていた、5.0L V型10気筒のツインターボ仕様が載っている。

既に15年ほど前のモデルで、維持費が足を引っ張り、英国では2万ポンド(約384万円)以下で探すこともできる。相応の勇気が必要ではあるが。今回のクルマは走行距離が約3万kmと短く、安心感は高いはず。

アウディRS6(C6/2008〜2010年/英国仕様)
アウディRS6(C6/2008〜2010年/英国仕様)

アウディUKが保有するヘリテージ車両で、同等のコンディションを中古車市場で選ぶと、5万ポンド(約960万円)前後。最新のパサートと変わらない。もう少し初期投資を抑えて、維持費に回すことも可能だろう。

四輪駆動システムのクワトロが受け止める最高出力は580psで、最大トルクは66.1kg-m。当時のライバルを、速さでは完全に打ち負かしていた。0-100km/h加速は、4.6秒でこなす。

エグゾーストノートは普段使いを想定し、ランボルギーニより穏やかに調整を受けているが、さながらイタリアン・オペラ。V10エンジンの咆哮が、ドライバーの気持ちを盛り上げてくれること請け合いだ。

他方、パサートの最大トルクは40.7kg-m。高回転域への怒涛の吹け上がりは楽しめないものの、電気モーターの鋭い立ち上がりで、RS6から大きく引き離されるほど遅いわけではない。0-100km/h加速は、7.1秒がうたわれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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