人生初のルクセンブルク訪問で感じたこと【新米編集長コラム#3】

公開 : 2024.10.11 17:05  更新 : 2024.10.11 22:15

8月1日よりAUTOCAR JAPAN編集長に就任したヒライによる、新米編集長コラムです。編集部のこと、その時思ったことなどを、わりとストレートに語ります。第3回は”ドッチリ”で訪れたルクセンブルク話の続きです。

面積は神奈川県とほぼ同じ、人口は1/13

ルクセンブルクに降り立ったのは、これを書いている10月10日木曜日からちょうど1ヵ月前となる、9月10日火曜日のことだった。これが人生初のルクセンブルク訪問である。

住んでいる方や関係者の方には大変ご無礼ながら、行き先を聞いてまず気になったのは、そもそもルクセンブルクがどこにあるかであった。そこですぐに調べたところ、ベルギーとフランスとドイツに囲まれた比較的小さな国であることがわかった。ここで、外務省のホームページに書いてある基本情報を抜粋しておこう。

ルクセンブルクの試乗会中に撮ったフェラーリ・ドーディチ・チリンドリ。
ルクセンブルクの試乗会中に撮ったフェラーリ・ドーディチ・チリンドリ。    平井大介

■ルクセンブルク大公国(Grand Duchy of Luxembourg)基礎データ
面積:2586平方キロメートル
人口:67.2万人(2024年1月、ルクセンブルク国立統計経済研究所)
首都:ルクセンブルク
言語:ルクセンブルク語、フランス語、ドイツ語

面積は神奈川県の2416.32平方メートルにだいぶ近いが、人口は同じく神奈川県の約922.5万人(9月1日現在)と比べると1/13ほどであり、だからなのか、走っていて人もクルマも少ないように感じた。

訪問の目的は前回書いたように、フェラーリ・ドーディチ・チリンドリの国際試乗会に参加するためだ。日本からは9日月曜日夜に羽田空港を出発し、日付変わって10日火曜の朝にドイツ・フランクフルトで乗り換え。そこから小さな飛行機で1時間ほど飛び、ルクセンブルクの空港に到着した。

ルクセンブルクの中で比較的南にある空港から、さらに1時間くらいクルマで北上。ベルギーやドイツの国境がだいぶ迫ってきたクレルヴォーにあるシャトーホテルが、試乗会の拠点だ。そこに向かう道中も、会場周辺も、とにかく自然が豊かな印象で、一方の都市部や街中は、よくあるヨーロッパの雰囲気そのまま。全般的に華美ではなく、落ち着いた大人の雰囲気だ。

陸続きのヨーロッパならではの連続性

ドーディチ・チリンドリで走っていて気がついたのは、町中での速度制限が徹底していこと。今回の試乗コースは、小さな町を走り、自然豊かな郊外の道を走り、また小さな町を走りの繰り返しだったが、町の入口には大抵デジタルの速度計があって減速を促していたのだ。

残念ながら観光名所を訪れることも、名物を食する機会もなかったが、初日には地元のクラフトビール工房を訪れるアクティビティがあり、ビールといえばのドイツに近いことを思わせた。その夜にプレゼンが控えていたので、ビールはほとんど飲まなかったが……。

町の入口に速度計を設置して減速を促していた。これは町を出るときの標識。
町の入口に速度計を設置して減速を促していた。これは町を出るときの標識。    平井大介

そこで思い出したのが以前、ブガッティ本社があるストラスブールを訪れた時のことだった。フランス東部のドイツ国境近くにあり、”ストラスブール”はフランス語読みだが、ドイツ語読みなら”ストラスブルグ”である。そういえば、レストランのメニューもフランス語とドイツ語の2ヵ国語表記だった。

そんな地域で誕生したブガッティ・ヴェイロンは、フォルクスワーゲン・グループ(ドイツ)の影響を受けながら、ブガッティ(フランス)としての矜持を示した……というような原稿を書いた記憶がある。そして今回訪れたルクセンブルクも、ドイツに近い堅い雰囲気を感じさせながら、どこかフランスのような柔らかさも思わせる国で、陸続きのヨーロッパならではの文化の連続性があり、興味深く感じた。

もし休暇を利用してルクセンブルクに行かれるなら、名所なのか食事なのか人物なのか、明確な目的をもったほうがよさそうだ。それなしにルクセンブルクを楽しむのは、ドーディチ・チリンドリのV型12気筒くらい、気持ちに余裕が必要かもしれない。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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