メルセデス・ベンツ新型「EQV」 低車高の “空力ボディ” 採用 航続距離500kmで2026年登場予定

公開 : 2024.10.14 06:25

メルセデス・ベンツが「Vクラス」EV仕様のプロトタイプを公開した。EQVの後継と見られるが、ルーフ形状が明らかに空力を意識した滑らかなデザインとなっている。

EV用プラットフォームで性能強化

ドイツのメルセデス・ベンツは、ミニバンの「Vクラス」の電動化に向けて抜本的な改革を進めている。EV仕様である「EQV」の次期型は2026年の登場が見込まれる。

同社が10月7日に公開した画像には2種類のプロトタイプが写っており、厳重なカモフラージュが施されているものの、新型車における重要なディテールを確認できた。例えば、ルーフラインは現行モデルよりもはるかに低く、電動化に伴いエアロダイナミクスが優先されることを示唆している。

メルセデス・ベンツが公開したプロトタイプの画像
メルセデス・ベンツが公開したプロトタイプの画像    メルセデス・ベンツ

メルセデス・ベンツは以前、Vクラスとヴィトー(商用車仕様)が「VAN.EA」という電動積載車用のプラットフォームに移行することを明らかにした。現行モデルのプラットフォームよりも柔軟性が高く、配送車両、MPV(ミニバン)、高級シャトルなど、各バリエーションを「明確に差別化」できるという。

VAN.EAプラットフォームには800Vの電気アーキテクチャーと22kWのAC充電器が装備される。前輪駆動と四輪駆動に対応し、航続距離は最も長いバリエーションで500kmを超える。2026年以降のすべての中型および大型バンに採用される予定だ。

発売当初はレベル2の運転支援システムが搭載され、2030年までにはレベル3(低速の渋滞など特定の状況下で自動運転が可能)にアップグレードされる。また、2030年までにレベル4(ドライバーの入力なしに自動運転)をヴィトーに導入する計画もある。

昨今、中国や東アジア市場で高級ミニバン・セグメントが急成長を見せている。吉利汽車傘下のジーカー(Zeekr)は昨年ミニバンの009を発売し、続いてミックスを導入した。ボルボはジーカー009の兄弟車となるEM90を販売し、レクサスはハイブリッドのLMを投入している。

メルセデス・ベンツは昨年の声明で、「米国ではプレミアム商用大型バン、中国では高級プライベート・バンに大きな成長の可能性がある」と述べている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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