運転自体がイベント! メルセデス・ベンツ Gクラスへ試乗 流行を超越した四角いボディ

公開 : 2024.11.29 19:05

Sクラス寄りのインテリア 12.3インチが2面

インテリアの印象は、軍用車ベースのオフローダーというより、Sクラス寄り。とはいえ、モニターのサイズは控えめで、ダッシュボード上にインフォテイメント用とメーター用の、12.3インチが2面並ぶ。実際に押せるハードスイッチも、沢山ある。

インフォテイメント・システムは、最新のMBUXが稼働するようになった。エアコン用に独立したハードスイッチが設けられ、ショートカットキーもあるため、従来以上に使い勝手は良好。タッチパッドも残っている。

メルセデス・ベンツ G 500 AMGライン・プレミアムプラス(英国仕様)
メルセデス・ベンツ G 500 AMGライン・プレミアムプラス(英国仕様)

フロントシートの調整域は広く、高めの視界が気持ちいい。シートの座り心地は、多くのクロスオーバーに組まれるものより優れる。助手席の正面には、ゴツいグラブハンドル。センターコンソールの小物入れの蓋も、いかにも頑丈そうだ。

リアシート側は、つま先をフロントシートの下へ入れられるため、見た目以上にゆとりを感じる。サイドヒンジ式のテールゲートを開くと、荷室は想像より小ぶり。ラダーフレームがボディの下に存在するため、床面の位置が高く、幅も狭めだ。

さて、G 500をサーキットで走らせてみよう。3.0Lエンジンは、豊かなトルクで驚くほど活発に2590kgのオフローダーを走らせる。横出しのマフラーから、勇ましいサウンドを放ちながら。

ラグジュアリーな乗り心地 舗装路での高い安定性

滑らかに発進し、160km/hくらいまでは意欲的に速度が上昇する。だが、その辺りから空気を切り裂くのに苦労し始める。風の影響を考慮し、直線での動力性能の計測は往復で実施したが、0-192km/h加速の行きと帰りでは0.2秒も違っていた。

9速ATは、基本的には滑らかで素早くギアを切り替える。ただし、低速域では若干もたつく様子もあった。

メルセデス・ベンツ G 500 AMGライン・プレミアムプラス(英国仕様)
メルセデス・ベンツ G 500 AMGライン・プレミアムプラス(英国仕様)

ブレーキは強力。ペダルを思い切り踏むと、柔らかいサスペンションがゆえに、フロントノーズが大きく沈み込む。制動距離は充分短く、不安になるほどではないけれど。

サスペンションは、アダプティブダンパーとコイルスプリング。乗り心地はしなやかでラグジュアリーだが、稀にリジッドアクスルの存在を隠しきれない。傷んだ路面では、揺れや衝撃音が伝わってくる。

Gクラスで感心するのが、安定性。ラダーフレームとリジッドアクスルでも、郊外の流れの速い道を快適に流せる。カーブでのボディロールは大きめで、グリップ力が高いわけではないが。

全幅は1931mmあるが視界は広く、ボンネットの先端も見えるため、狭い道でも想像以上に扱いやすい。気張りすぎると、スタビリティ・コントロールが横転のリスクを察知し、丁寧に介入する。しかし、運転の邪魔をすることはない。

運転支援システムは、トップクラスに高機能。アダプティブ・クルーズコントロールは、後ろから近づく緊急車両やバイクにも反応してくれる。速度標識認識は、やや安定しないようではあった。

記事に関わった人々

  • AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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