チャーリーXCXのCDジャケットと同色? アバルト500e 長期テスト(4) 少し大人なインテリア

公開 : 2024.10.26 09:45

アバルト・フレーバーの効いた500e 高めの価格に目を引くスタイリング 公道での走りの興奮度はいかに? 本物の電動ホットハッチと呼べるのか、英国編集部が長期テストで確認

積算9568km バゲット置き場に丁度いいトノカバー

友人とのバーベキューの買い出し。フランスパンを購入したのだが、その長さがアバルト500eの荷室の幅へ近いことへ気づいた。充電ケーブルが空間の一部を専有していることもあって、買い物の荷物を積むのに困るほど狭いのだ。

その上には、小さなトノカバーが付いている。丁度、この上がフランスパンの置き場にぴったりだと判明した。充電ケーブルと一緒に置く必要もないし、リアウインドウ越しに太陽が当たって、パンを適度に温める事もできた。隠れた使い道といえるかも?

アバルト500e ツーリスモ(英国仕様)
アバルト500e ツーリスモ(英国仕様)

積算1万42km アバルト595と重なる走行フィール

数年前に、グレートブリテン島にある起伏の大きいサーキットで、アバルト595を試乗したことがある。その時、ロケットが後ろに括られたショッピングカートのようだと表現したのを覚えている。

不自然に高いドライビングポジションや、鍋をお玉でかき混ぜているように曖昧なシフトレバーのことも気になったが、深くは触れなかった。正直なところ、筆者には合わないクルマだと感じた。

アバルト500e ツーリスモ(英国仕様)
アバルト500e ツーリスモ(英国仕様)

先日は、グレートブリテン島南部のサウスダウンズに広がる丘陵地帯で、アバルト500eを走らせてみた。かくして、その印象はアバルト595と重なるものだった。ロケットのエネルギー源は電気になり、シフトレバーは小物入れへ置き換わっているけれど。

必至に路面へしがみつくような印象

アバルト500eは、通常のフィアット500eとは異なる、エネルギッシュさがあることは間違いない。それでも、傷んだアスファルトを通過させたり、カーブで重心移動させると、フラットな姿勢制御と同時に車重の重さを伺わせる。

カーブを次々と軽快にこなしていくような、機敏な操縦性や身のこなしを楽しめるわけではない。必至に路面へしがみつくような印象があり、面白くないわけではないが、心の底から熱中できるとはいいにくい。

アバルト500e ツーリスモ(英国仕様)
アバルト500e ツーリスモ(英国仕様)

サウスダウンズは、筆者が気に入っているドライブエリアなのだが、いつものルートを1周したところで帰路についた。近年の電気自動車でも、運転にのめり込める例はある。MGサイバースターは、本当に楽しいと感じられた。

そんなアバルト500eは、ロンドンのオフィスと自宅との往復でも、駆動用バッテリーが心もとない。高速道路と流れの速い幹線道路が中心の道のりとはいえ、距離は片道112kmほどだ。

朝に80%の状態で出発しても、帰り道では自宅へ到着する手前で警告灯が光り、省電力モードに切り替わる。途中でいくつかの用事をこなすには、その日2回目の充電が必要になってしまう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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