日産、EVの「双方向充電システム」2026年に英国初導入 V2G技術で電気料金を抑える
公開 : 2024.10.14 18:05
日産は2026年に英国で「V2G」技術を導入すると発表した。EVの双方向充電システムで、バッテリーに蓄えた電力を売電することができる。リーフの後継モデルなどに搭載される見込みだ。
リーフの次世代モデルに搭載か
日産自動車は10月10日、電気自動車(EV)のバッテリーに蓄えた電力を自宅や電力網に供給できる「ビークル・トゥ・グリッド(V2G)」技術を、2026年から英国で導入すると発表した。その後、欧州市場にも順次拡大していく計画だ。
日産によると、自動車メーカーとして初めて、英国での双方向充電システムのサービス展開に必要な交流電源(AC)システムによる認証を取得したという。
このV2G技術は、2026年以降のほぼすべての新型EVに搭載される。つまり、英国のサンダーランド工場で生産予定の3車種のEV、キャシュカイ、ジューク、リーフの次世代モデルに搭載されることになる。
ただし、アライアンスパートナーのルノー5 Eテックと並行して生産するマイクラの後継EVには搭載されない。ルノー5 Eテックも双方向充電が可能だが、今回とは別のシステムを採用しており、マイクラ後継EVにはこちらが搭載されるようだ。
V2Gは事実上、EVを「走る蓄電池」とするものだ。風や太陽光などで発電した再生可能エネルギーを電力需要が少ない時間帯にバッテリーに蓄え、需要が高まったときにその電力を電力網(グリッド)に送る(売電する)ことができる。これにより、日産は年間充電コストを最大50%削減できると見積もっている。
また日産によると、V2G対応型の家庭用充電器の設置コストは、現在の標準的な単方向ユニットとほぼ同じだという。
現在市販されているEVのモーターは直流で動くが、電力網は交流送電となっている。これに対応するため、EVには充電時に交流から直流に切り替えるコンバーターが搭載されている。日産のV2G技術では、このプロセスを逆転させ、バッテリーに蓄えた直流電力を交流に戻し、特別に開発された充電器を通じて電力網に供給することができる。
日産は近年、複数の国でリーフやアリアを使用して約40件のV2G実証実験を実施してきた。新しい充電器と車載ユニットの開発には、英国ノッティンガム大学も協力した。
英国政府はV2Gを将来のエネルギー需要と消費量を管理するための鍵と位置づけており、運輸省のリリアン・グリーンウッド道路担当政務次官は日産の発表を受け、次のように述べている。
「より環境に優しい交通網は政府にとって重要な優先事項であり、協力することで消費者の信頼を高め、より多くのEVを走らせるという共通の目標を達成することができる」