アルピーヌが新型「A390_β」発表 初の高級ファストバックEV、スポーティな “5人乗り版A110” 2025年導入へ

公開 : 2024.10.12 06:05

アルピーヌは新型EVのコンセプトモデル「A390_β」を欧州で公開した。高い実用性とスポーティな走りを両立させているという。外装デザインは来年登場予定の市販車にほぼ引き継がれるようだ。

「走り」重視の電動クロスオーバー

フランスのアルピーヌは10月11日、新型のEVコンセプト「A390_β(A390ベータ)」を初公開した。未来的なファストバックスタイルとスポーティな走りを併せ持ち、「5人乗りの大型A110」として構想されている。

ルノー・グループのEV用プラットフォーム「Amprミディアム」を採用し、2025年にはA390として量産車が登場する予定だ。BMW iX2やテスラモデルYなどのライバルとして位置づけられるだろう。

アルピーヌA390_βコンセプト
アルピーヌA390_βコンセプト

アルピーヌは、自社の2人乗りスポーツカーであるA110をベンチマークとし、3モーター・パワートレイン(フロントに1基、リアに2基)とアクティブ・トルク・ベクタリング技術を組み合わせることで、「軽量車のドライビング・ダイナミクス」を実現するとしている。

設計責任者のアントニー・ヴィラン氏は、「ほとんどのEVは、ただまっすぐ走ることだけを目的としています。ここ(A390)では、A110と同じようなドライビング感覚を開発しています。これは主にトルク・ベクタリングによるものです」と述べた。

A390_βのスタイリングは、2022年公開のアルペングロー・コンセプトにインスパイアされたもので、ル・マン・ハイパーカーに着想を得たセンターフィンなどフロントエンドはほぼそのまま量産車に引き継がれるという。

そのほか、雪の結晶のような形(「高強度かつ軽量」)にデザインされたホイールは、アクティブ・トルク・ベクタリングが作動すると青く点灯する。

リアヒンジドア(観音開き)、リアライト兼スポイラー(空気抵抗を減らすために最大80mmまで伸長可能)、F1スタイルのインテリアなど、市販化されない過激な要素もあるが、これらはすべて「ブランドの未来」を指し示しているとヴィラン氏は言う。

インテリアの注目点は油圧アシスト式のドライバーズシートで、標準的なドライビング・ポジションからF1のバケットシートを模した設定まで切り替えることができる。ステアリングホイールはワイドからナローに変形し、天候などの情報を表示する。

助手席の乗員も「ドライビング体験を共有」できるように設計されている。同じタイプのシートが用意されるだけでなく(ポジション変更機能はない)、ダッシュボードには道路情報を表示するパネルが取り付けられる。ヴィラン氏によれば、乗員は「もはや乗客ではなく、コ・パイロットになる」という。

インテリア全体にアルプスのテーマを採り入れており、白い(雪のような)シートや、アルプスの峠で見られる石を模したデザインのフロアなどがある。

市販車に搭載されるバッテリーや航続距離、出力などはまだ公表されていない。ただ、アルピーヌ・エンジニアリングのロバート・ボネット副社長はAUTOCARに対し、バッテリーを大型化すると重量が増すため、「最速や最長を目指すわけではない」と語った。「適切なレベル」を実現し、「競争力のあるもの」に仕上げるという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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