【ヒョンデ・アイオニック5長期レポート2】5Nと比較試乗。癒しカー対爆笑マシン!

公開 : 2024.10.15 12:05

新EVスポーツ像へのトライに満ちた最高の玩具

まあ、疑似サウンドってなによと、エンジン愛好家からは批判的な声もあがるだろう。ゲームじゃあるまいしと。しかし最初から心にシャッターを下ろしてしまうのはもったいない話で、これは新たな乗り物として、非常に面白いものとなっていることをまずはご理解頂きたい。

そして見逃せないのは、各部からクルマ好きの匂い、もっとストレートに書けば、サーキット走行好きのオタク臭が漂ってくることだろう。

室内はセンターコンソールを追加するなどアップデート。
室内はセンターコンソールを追加するなどアップデート。    花村英典

走行状況に応じてバッテリー温度を設定できるNバッテリー・プレコンディショニング、スプリントとエンデュランスモードを用意したNレースと呼ばれるエネルギーコントロールシステム、フロントとリアのトルク配分を自ら調整できるNトルク・ディストリビューション……。

設定するものが多すぎて、試乗期間中に全貌を理解するのは難しいと感じるほどで、新しいEVスポーツ像へのトライに満ちた、まさに最高の玩具と言えるのではないか。

取材後ひとりアイオニック5に戻ると、4点シートベルトから解放されたような緩やかな優しい空間が待っていて、”癒される……”と思わず呟いてしまった。

アイオニック5は、デザインも乗り心地もどこか肩の力が抜けていて、乗る人たちにいい意味で刺激を与えない。ホイールベースは3mもあるし、車重も2トン越えと、サイズ的には決して軽快なクルマではないけれど、決して鈍重ではなく、パワー不足を感じる場面も特にない。その重さがクルマに落ち着いた雰囲気、キャラクターを与えている。

対決なので結論を書けば、2台ガレージに並べて、その日の用途によって選ぶが正解だと感じた。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。
  • 撮影

    花村英典

    Hidenori Hanamura

    1970年生まれ。東京写真専門学校を卒業後、ファッション誌、バイク誌を経てフリーランスへ。現在は自動車専門誌を中心に撮影。はじめて買った車はMR2(AW11)。ドライブとセダンとMTが好き。

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