速さは「道徳性に欠ける」ほど? 小変更 アウディSQ7へ試乗 10年目でも万能選手的

公開 : 2024.11.30 19:05

2015年に登場した2代目Q7がアップデート 3代目の登場まで競争力を維持 道徳性が欠けるように感じるほど速い507ps 高級SUVに乗っている実感を強めるインテリア 英編集部が評価

3代目の登場まで2代目の競争力を維持

実は、2代目アウディQ7の発売は2015年で、早いもので9年が経過しようとしている。英国市場の主要な現行モデルでは、最も古株の1台となっている。

2026年には、まったく新しいQ7が登場する予定。恐らくこの大型SUVが、アウディ最後の内燃エンジンモデルになることだろう。

アウディSQ7 TFSI ブラックエディション(英国仕様)
アウディSQ7 TFSI ブラックエディション(英国仕様)

新しい3代目では、エンジンのラインナップが刷新され、プラットフォームは大幅に改良。スタイリングでは、次世代のデザイン言語が展開されるはず。インテリアデザインも一新され、2代目と共通するのは車名のみといって良いかもしれない。

それまでの間、7シーター上級SUVの競争力を維持するべく、2代目へアップデートが施された。ただし、その内容は控えめなもの。新世代のインパクトを、大きくしたいという意図はあるはず。

内容を確認していくと、定番といえるが、LEDヘッドライトとフロントグリルが新しくなった。全体的にスッキリ落ち着いた容姿が目指されたといえ、これが最もわかりやすい変化といえる。

ステアリングは、オプションのシステムで安定性を高めるべく調整を受けている。インフォテイメント・システムは、音楽ストリーミング・サービスのスポティファイに対応した。いずれも本来の実用性や洗練性に、大きく影響するものとはいえないだろう。

道徳性が欠けるように感じるほど速い507ps

Q7のボディサイズは、全長が5072mm、全幅が1970mm、全高が1734mmという巨体。自宅や職場の駐車場に入るかどうか、予め確認が必要といっていい。しかし改めて運転してみると、想像ほど扱いにくくは感じられず、走りに重苦しさはない。

運転席からの視界は良好で、操縦性に優れることが、その理由の1つ。もう1つは、登場から10年弱の間に、巨大なサイズへライバルも成長していることがあげられると思う。さほど広くない一般道でも、余り気を使わずに対向車とすれ違える。

アウディSQ7 TFSI ブラックエディション(英国仕様)
アウディSQ7 TFSI ブラックエディション(英国仕様)

今回試乗したのは、スポーティなSQ7。車高調整できるエアサスペンションが標準装備され、四輪駆動のクワトロ・システムと相乗し、素晴らしい安定性を生んでいる。操縦に対する反応は予想しやすく、強力なパワートレインのエネルギーを活用できる。

SQ7の大きなエンジンルームに鎮座するのは、4.0L V型8気筒ガソリンツインターボ。最高出力507ps、最大トルク78.3kg-mを繰り出し、道徳性が欠けるように感じるほど速い。巨大なSUVが故に、実際以上かもしれない。

AUTOCARの読者なら、数年前のSQ7にはV8ディーゼルツインターボが載っていたことを、ご記憶かもしれない。その91.6kg-mという怒涛のトルクが恋しくなることも事実だが、フル加速でキックダウンさせると、圧巻のV8サウンドを撒き散らしてくれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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