パガーニ・ゾンダ S ケーニグセグCCXR(1) 全身全霊で速さを引き出す 瞬間的で爆発的な加速!

公開 : 2024.11.03 17:45

大胆で真実味の高い雰囲気

果たして、1999年のスイス・ジュネーブ・モーターショーで、パガーニ・ゾンダC12は発表。それまで無名の自動車メーカーといえたが、技術的にも視覚的にも、傑作といえる水準に到達していた。

ミドシップされるのは、メルセデスAMGが組んだM120型ユニット。ジェット戦闘機のようにキャビンが前方へ位置し、フラットに広がるリアデッキを備え、大胆でありながらも真実味の高い雰囲気を醸し出した。

パガーニ・ゾンダ S ロードスター(2003〜2006年/英国仕様)
パガーニ・ゾンダ S ロードスター(2003〜2006年/英国仕様)

オラチオは、1980年代のグループCマシン、ザウバー・メルセデスC9へ影響を受けていた。しかし、リア中央にテールパイプが4本並び、モータースポーツ直系といえる出で立ちでも、レース参戦は意図されていなかった。

オールアルミ製5987cc V12エンジンの最高出力は、当初407ps。5速MTを介して後輪へ伝えられ、0-100km/h加速を4.0秒でこなし、最高速度は297km/hが主張された。

1250kgと軽い車重は、オラチオが持つ複合素材の知識のたわものといえた。カーボン製モノコックと、クロムモリブデン鋼製のサブフレームで構成され、剛性も極めて高い。

今回ご登場願ったゾンダ S ロードスターは2003年に登場し、12台が作られている。排気量は7291ccへ拡大され、最高出力は562psへ上昇。最大トルクは76.3kg-mで、トラクション・コントロールとABSが装備される。

サスペンション・ダンパーは、オーリンズ社製の調整式。アルミホイールは、ワンピースの鍛造品が組まれる。

想像より扱いやすい 速度上昇は瞬間的で爆発的

インテリアは、まるで異世界。ゴージャスにキルティングされたレザーシートの座面は低く、鋳造アルミ製のペダルが足もとで輝く。ウッドとレザー、アルミで構成されるステアリングホイールの奥に、アナログメーターが並ぶ。

ドアの内張りやトランスミッション・トンネルなど、黒光りする部分はカーボン。ヘアライン仕上げのダッシュボード中央に、フィアット由来のエアコン用パネルが埋め込まれている。トグルスイッチがレーシーだ。

パガーニ・ゾンダ S ロードスター(2003〜2006年/英国仕様)
パガーニ・ゾンダ S ロードスター(2003〜2006年/英国仕様)

ドアは、一般的な前ヒンジ。カーボン製のルーフパネルは、手作業で取り外せる。

レッドに染まったスターターボタンを押し、メルセデスAMGのV12エンジンを目覚めさせる。背後で、上質な響きが奏でられる。加速は鋭いが、想像より扱いやすい。

クラッチペダルは重すぎず、シフトレバーの動きは、ややザラつきがあるものの軽い。ドアミラーの位置が高く、斜め前方も良く見える。油圧アシスト付きのステアリングは、最高速を考えレシオはスロー気味。負荷が増すまで、フィードバックが薄い。

速度上昇は瞬間的で爆発的。直線的にパワーが湧き出る。過給器は備わらず、エグゾーストノートに鳥肌が立つ。1990年代初頭のF1マシンのようだ。

回転バランスが素晴らしく、7000rpmまでスムーズ。ダンスフォールドのストレートでフル加速を試みる。6500rpmで281km/hに到達したが、強い横風が吹いていたにも関わらず、ゾンダはビタッと安定している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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