ギネス世界記録のV8エンジン パガーニ・ゾンダ ケーニグセグCCXR(2) 400km/hへ誘う怪力!

公開 : 2024.11.03 17:46

スーパーカーの概念を超えた21世紀のハイパーカー 全身全霊で動力性能を引き出す 速度上昇は瞬間的で爆発的 トップギアでコースレコード樹立 少量生産の2台を英編集部が振り返る

22歳でハイパーカー開発へ挑んだケーニグセグ

クリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏が、自身の名を関した自動車メーカーを立ち上げたのは、1994年。スウェーデン・ストックホルム出身で、当時は若干22歳だった。クルマに対する人並みならぬ情熱が、彼を突き動かした。

もちろん、地球上最速のクルマを作るという野望は、安価に叶えられるものではなかった。ドイツ貴族の末裔として資金力はあったものの、最初のプロトタイプはスウェーデン政府からの補助金と、ボルボサーブの協力を得ながら作られている。

ケーニグセグCCXR エディション (2008年/英国仕様)
ケーニグセグCCXR エディション (2008年/英国仕様)

パワートレインは複数検討されたが、クリスチャンが最終的に選んだのは、フォード由来の4.6L V型8気筒エンジン。実は、大型サルーンのリンカーン・コンチネンタルにも載るユニットだ。

シャシーの設計は、クリスチャン本人。パガーニ・ゾンダ Sと同じく、カーボン製モノコックと、クロモリ鋼製サブフレームで構成されている。

量産仕様のケーニグセグCC8Sが発表されたのは、2003年のスイス・ジュネーブ・モーターショー。ツイン・スーパーチャージャーが過給するV8エンジンの最高出力は664psで、量産車最強エンジンとしてギネス世界記録を掴んでいる。生産数は6台だった。

2004年に、CCRへ進化。ツイン・スーパーチャージャーのまま、最高出力は817psへ上昇した。イタリアのナルド・テストコースでは、マクラーレンF1を約1km/h差で破る、387.86km/hの最高速を樹立。完全なるハイパーカーの仲間入りを果たした。

ダブルバブル・ルーフの官能的なフォルム

その後、2006年にCCXを発表。今回のマシンは、その進化系となるCCXR エディションだ。エンジンは、独自開発された4700ccのV型8気筒。基本的にはオリジナルの改良版だが、北米の安全基準と排気ガス規制へ準拠されている。

最高出力は、E85などのエタノール燃料を使えば1032ps。ただし、今回は一般的なガソリンでタンクが満たされており、最高出力は817psとのこと。それでも、不足はあるだろうか。

ケーニグセグCCXR エディション (2008年/英国仕様)
ケーニグセグCCXR エディション (2008年/英国仕様)

CCXRの出で立ちは、目を疑うほどロー&ワイドで少し薄気味悪い。フロントは緩くカーブし、ゾンダ Sのように明確な特徴がない。対してリア側は、ダブルバブル・ルーフの官能的なフォルムが展開する。

ガラス張りのエンジンリッドには、かわいいゴーストのイラストがあしらわれる。これは、ケーニグセグの工場が位置する南部のエンゲルホルムを拠点としていた、スウェーデン空軍への敬意の表れだという。

クラムシェルのリアカウルを開くと、ドライサンプ化された32バルブV8エンジンが顕になる。ブロックはアルミ製で、カムカバーはカーボン製。アイバッハ社製のコイルオーバーキットのマウントポイントが、構造体を兼ねるエンジン側に固定されている。

リアのミシュラン・パイロットスポーツの幅は345で、11スポークのアルミホイールはセンターロック。芸術品のように、鑑賞したくなる眺めだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

パガーニ・ゾンダ S ケーニグセグCCXRの前後関係

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