ギネス世界記録のV8エンジン パガーニ・ゾンダ ケーニグセグCCXR(2) 400km/hへ誘う怪力!

公開 : 2024.11.03 17:46

BBCトップギアでコースレコードを記録

ドアの開き方はエレガント。サイドのエアインテーク内に隠れたボタンを押すと、ディヘドラル・ドアが回転するように上方へ立ち上がる。カーボン製サイドシルは幅が広いものの、乗り降りはしやすい。

フロントガラスは、グループCカーのように横までカーブを描く。長いワイパーが1本中央に立ち、最新F1マシンのコクピットからの視界にも似ている。

ケーニグセグCCXR エディション (2008年/英国仕様)
ケーニグセグCCXR エディション (2008年/英国仕様)

ダッシュボードの様子は、淡白でメカニカル。メーターパネルやコラムレバー、中央側のパネル、シフトレバーなどはアイボリーに染められ、幾何学的で、滑らかなスタイリングとは一致しない。見惚れるような、パガーニの雰囲気とも異なる。

人間工学的には良好。シンプルなレイアウトで、短時間で車内へ馴染める。

このCCXRは、BBCのトップギアで7年間破られないコースレコードを記録した。ドライバーのスティッグが刻んだタイムは、1分17秒6だった。筆者が運転し、軽く路面が湿っている今日は、そのタイムへ近づくことは到底不可能だが。

運転体験は、ゾンダ S ロードスターとまったく異なる。乾燥重量は1280kgと大きく違わないが、走りはより落ち着いている。一方でエンジン音は、アイドリング時から荒々しい。操縦系へ伝わる振動が大きく、ちょっとマッスルカーっぽい。

技術的にも空気力学的にも偉業といえる水準

アクセルペダルのストロークは、想像以上に短い。右足へ力を込めれば、即座に宇宙船の様相だ。

0-161km/hの加速時間は6.4秒と、ゾンダ Sより0.6秒鋭い。本領を発揮したCCXR エディションは、カンナム・レーシングカー的なワイルドさで突進していく。猛烈なパワー感は、表現が難しい。

ケーニグセグCCXR エディション (2008年/英国仕様)
ケーニグセグCCXR エディション (2008年/英国仕様)

アクセルペダルの角度を僅かに増やすだけで、推進力が明確に上昇する。ストレートでも、若干不安定さが滲むほど。一方で、249km/h時のダウンフォースは350kgもあり、超高速域での巡航は感心するほど落ち着いている。

カーブでは、ゾンダ Sとは異なりアンダーステア。しかし、オーバーステアへの推移は予想しやすい。急に手のひらを返されることはないようだ。

最高出力は、ガソリンでも270ps以上高い。CCXRで加速を続ければ、400km/hの速度域へドライバーを誘う。技術的にも空気力学的にも、偉業といえる水準にあることは間違いないだろう。

21世紀の初頭に生み出された、2台のハイパーカー。世界の違う価格は抜きにして、もし筆者がどちらかを選ぶなら、複層的で芸術的な特別さを好むだろう。カーボンファイバーの織り目1つまで魅了される、ゾンダ Sのように。

協力:ジョー・マカリ社、ウィル・ストーン社、ダンスフォールド・パーク社

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

パガーニ・ゾンダ S ケーニグセグCCXRの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事