バッテリー更新で最長600kmに! テスラ・モデルY ロングレンジへ試乗 感動の自律運転システム

公開 : 2024.10.28 19:05

モデルYがアップデート 駆動用バッテリーの更新で航続距離伸延 ミニマリスティックな車内 多くのクルマを引き離せる346ps 自律運転システムの有能ぶりに感動 英国編集部が評価

バッテリーが新ユニットへ置換 航続600kmへ

電動化技術への大転換が進む、自動車業界。その大波をうまく捕らえたテスラは、見事な急成長を遂げた。これほどの成功を掴めるメーカーは、そう簡単に現れるものではないだろう。

振り返ること10年前、テスラは目新しいパワートレインを前面に打ち出す、誕生したばかりの小さなブランドだった。ユーザーのサポート体制は、最小限といって良かった。しかし、2024年では世界中で確かな支持を集めている。

テスラ・モデルY ロングレンジRWD(英国仕様)
テスラ・モデルY ロングレンジRWD(英国仕様)

ただし、既存の自動車メーカーが傍観しているわけではない。テスラも、アップデートの手を休めることはできない。2024年仕様として、クロスオーバーのモデルYへ小変更が施された。

シングルモーターで後輪駆動のRWDに搭載される、駆動用バッテリーが新しいユニットへ置換されたという。ただし、テスラは容量を公開したがらない。AUTOCARが得ている情報では、恐らく通常が60kWhで、ロングレンジでは75kWhなはずだ。

これに伴い、英国価格は4万4990ポンド(約864万円)から4万6990ポンド(約902万円)へ上昇している。そのかわり、ロングレンジRWDの航続距離は600kmへ伸延。電費は6.4km/kWhで変わりない。

これ以外、英国仕様のモデルYに変更はなし。アヒル口のようなフロントマスクや、ずんぐりと丸みを帯びたフォルムは従来どおり。2025年にはフェイスリフト予定で、モデル3のように多少リフレッシュされるのではないだろうか。

淡白な車内 多くのクルマを引き離せる346ps

インテリアは、感情の変化を生まないようにしたと思えるほど、ミニマリスティック。車載機能のほぼすべてのインターフェースになる、ダッシュボード中央のタッチモニターが、強い存在感を放っている。

ワイパーやヘッドライトの操作、ドアミラーやステアリングホイールの角度調整、グローブボックスの開閉などは、タッチモニターではなく、独立したスイッチやノブで行えた方が良いと筆者は思う。イーロン・マスクさん。

テスラ・モデルY ロングレンジRWD(英国仕様)
テスラ・モデルY ロングレンジRWD(英国仕様)

まだモデルYへ慣れていない自分は、運転中にスピードを確認しようとして、正面のダッシュボードへ目線を落としてしまう事が多かった。これは、過ごす時間が増えるほど解消されると思うけれど。

運転体験は、基本的には褒められる。右足へ力を込めれば、346psを簡単に引き出せる。停止状態からでも走行中でも、内燃エンジンで走る多くのクルマを、圧倒的な勢いで引き離せる。本当に、矢のように疾走してみせる。

ステアリングホイールの感触は若干人工的ながら、反応は直感的。興奮を誘うものではないものの、落ち着いて長距離をともにできる。

弱点といえるのが、あまり優れない乗り心地や姿勢制御。運転席からは平滑に見えるアスファルトでも、揺れが伝わり後頭部はヘッドレストでバウンドし続けてしまう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    クリス・カルマー

    Kris Culmer

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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