家庭のエネルギーに革命? トヨタのポータブル水素カートリッジが秘める可能性

公開 : 2024.10.16 11:45

行政や法的な問題など、ハードルはまだ高い

トヨタでは、この水素カートリッジをユーザーが水素ステーションまで持って行って水素を充填するのではなく、家庭用のLPG(プロパンガス)のボンベを業者が家庭まで配達して交換しているように、カートリッジを配達して交換できるシステムまで考えている。つまり、カートリッジそのものに所有権はないというわけだ。

また、このカートリッジをクルマなどのモビリティに直接装着することで、エネルギー源とすることも検討している。水素ステーションで水素を充填するより短時間で済むわけだが、モビリティ搭載用にサイズを小型化すれば容量が減るから航続距離も減る。乾電池の単一や単二のように、サイズを何種類か企画することも検討されているが、サイズの選定は、なかなか微妙なところだ。

トヨタはカートリッジを配達して交換できるシステムまで考えている。
トヨタはカートリッジを配達して交換できるシステムまで考えている。    平井大介

また、カートリッジモジュールやFCモジュールも、サイズ的にも重量的にも一般家庭で使うには改良の余地がある。実用化のためには、コストも重要なポイントとなるだろう。

それでも一般家庭の新たなエネルギー源として、水素の可能性は高い。このポータブル水素カートリッジの実用化を早く望みたいところだが、行政による法的な問題もあり、そう簡単にはいかないらしい。

とはいえ、”究極のクリーンエネルギー”である水素が、石油に代わる新たなエネルギー源の第一人者であることは間違いない。そんな水素を、より身近で安全なエネルギーとしてさまざまな生活シーンで活用できそうなポータブル水素カートリッジ。これを使用した水素関連機器の開発やサービス提供などが、今後に期待されるところだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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