【詳細データテスト】メルセデス・ベンツGクラス オンロードもソツない 燃費と加速には空力の壁あり

公開 : 2024.10.19 20:25

内装 ★★★★★★★★☆☆

ドアのロックは硬く、ドアハンドルの手応えは機械的。重いドアを閉めるのには力が必要で、閉まる音も強烈だ。

着座位置はかなり高く、ほとんど目の前にフラットで垂直に近く立ったフロントウインドウが迫る。その先に見えるのは、段差のあるクラシックなボンネットだ。エンジンをかけて走り出す前から刺激的な体験で、いまどきのクルマでは得られないものだ。

インフォテインメントシステムは最新のMBUXで、タッチ画面で操作する項目は多いが、実体スイッチやタッチパッドが残されているので、操作性はむしろほかの最新モデルよりいい。
インフォテインメントシステムは最新のMBUXで、タッチ画面で操作する項目は多いが、実体スイッチやタッチパッドが残されているので、操作性はむしろほかの最新モデルよりいい。    JOHN BRADSHAW

キャビンそのものは、軍用車よりSクラスに近い。とはいえ、ディスプレイ依存度はそこまでではない。威圧的なほど大きな画面ではなく、ゴツい実体操作系が多く残されている。

2面の12.3インチ画面は、最新のMBUXを使うシステムへアップデート。ズラリと並んだ空調用のロッカースイッチやタッチパッド、ショートカットボタンがあるおかげで、同じソフトウェアを使うほかのモデルよりはるかに使いやすい。インフォテインメントの主要なものはタッチ画面式だが、セッティングや曲のリストをスクロールするのは、タッチパッドが使いやすい。

それ以外のインテリアに目を向けると、Gクラスらしい頑丈な感じが見受けられる。ドアハンドルを引くと例のガチャンという音を発し、Gクラスではおなじみの助手席側グラブハンドルはガッチリしている。センターコンソールの小物入れを覆うカバーは、不自然なくらいヘビーデューティなアクションを見せる。

フロントシートの調整箇所はかなり多いが、あまり低くすると場違いな感じになる。Gクラスならば、周囲を見下ろすコマンドポジションを取りたくなるところだ。そうすると、ドライビングポジションはレーシングバケットよりキッチンチェアに座った感覚に近い。クロスオーバーに多い中途半端にスポーティなポジションより、ずっと快適で満足感がある。

後席のレッグルームは、計測した数字以上に感じられるが、これは前席下の足入れ性が貢献している。サイドヒンジのバックドアからアクセスする荷室は、Gクラスならではの構造に影響を受ける。積載スペースは狭いが高さがあり、クロスビームに邪魔されてフロアがフラットにならない。

記事に関わった人々

  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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