【詳細データテスト】メルセデス・ベンツGクラス オンロードもソツない 燃費と加速には空力の壁あり

公開 : 2024.10.19 20:25

操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆

最新のGクラスで最大のサプライズは、オンロードをきちんと走ることだ。ラダーフレームにリアリジッドの重いオフローダーは、扱いにくくて動きが粗く、バンプを乗り越える際には振動が激しいものだと思うだろう。ところが、このGクラスにそういうものはみられない。

もっとも、スポーツカーのように走るわけではない。重さは感じるし、ロールは大きいし、グリップは比較的限られている。しかし、どれも許容範囲内で、ドライバーの入力に対し予測できるレスポンスを返してくれる。ステアリングのギア比は直観的に操作できるもので、ロールは唐突でなく徐々に大きくなるので、カントリーロードを流すのも楽しめる。

重量がありスプリングがソフトな本格オフローダーのわりには、オンロードをきちんと走る。もっとも、スポーツカーのように、とはいかないが。
重量がありスプリングがソフトな本格オフローダーのわりには、オンロードをきちんと走る。もっとも、スポーツカーのように、とはいかないが。    JOHN BRADSHAW

スタビリティコントロールはきわめて保守的なチューニングで、これは背の高いクルマだと当然ながら横転の危険が大きくなるからだ。とはいえ非常にスムースで適切なので、介入がひどく気になるものではない。もちろん、オフロードでの低速走行時には切ることもできる。

全幅はミラー込みで2.2m近く、英国を走らせるには大きいが、視点が高く、ボンネットのエッジがはっきり見えるので、サイズはさほど脅威にならない。

この手のクルマはエアサスペンションを装備すると思っているかもしれないが、このGクラスはかなりソフトなコイルスプリングを採用し、アダプティブダンパーと組み合わせている。結果、波長の長い乗り心地は高級感のあるしなやかなものに。

それでも、ライブアクスルに起因する挙動を完全には隠しきれない。平坦でない道では頭が上下にやや揺すられ、路面の穴にタイヤが落ちた衝撃をリアアクスルが吸収しきれないこともある。静粛性は、おおむね上々だが、100km/hを超えると風切り音が大きくなる。

メルセデスの運転支援デバイスは、マーケットにおいてもベストな部類だ。アダプティブクルーズコントロールの車線追従機能をオンにして、複数車線の道路で停止すると、緊急車両やバイクを通すような位置取りをする。

とはいうものの、制限速度認識は完全ではなく、車線維持アシストは田舎道だと惑わされることもある。

記事に関わった人々

  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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