弱点克服でベストバイに? スバル・クロストレックにストロングハイブリッド登場!

公開 : 2024.10.17 10:05

スバルは同社SUVラインナップのエントリーモデルとなる『クロストレック』に、いわゆる”ストロングハイブリッド”を設定、発売を開始しました。2025年に次期型フォレスターも採用するというこのシステムを、内田俊一が解説します。

クロストレックから導入したわけ

スバルは同社SUVラインナップのエントリーモデルとなる『クロストレック』に、いわゆる”ストロングハイブリッド”を設定。これまでのマイルドハイブリッドも併売する。なお2025年には、このシステムを使用した次期型フォレスターも導入予定だ。

グレードは、価格323万4000円であるマイルドハイブリッドの『リミテッド』(AWD)に対し、約35万円をプラスした『プレミアムS:EHV』。さらにアイサイトXやフル液晶メーターなどの装備を追加し、約20万円のプラスとなる『プレミアムS:HEV EX』の2車種となる。

スバルのSUVエントリーモデル『クロストレック』に、いわゆるストロングハイブリッドを設定。
スバルのSUVエントリーモデル『クロストレック』に、いわゆるストロングハイブリッドを設定。    スバル

スバルの商品事業本部プロジェクトマネージャー(PM)の藤居拓也さんに、なぜクロストレックからこのストロングハイブリッドを導入したかを聞いたところ、まず「できるだけ早く投入できるタイミングが、クロストレックの商品改良と合っていたから」とのこと。さらに、「クロストレックが属する国内市場では、ストロンクハイブリッドがないとショッピングリストに上がりにくいこともある」と話す。

さらには、「ストロングハイブリッドというパワーユニットと車体開発を同時に行うことの、難易度の高さ」もあるそう。例えばボディ開発で問題が発生したときに、パワーユニット側にも何らかの対応が求められることがある。それを避けるために既存のボディに搭載することを前提とすれば、パワートレイン開発のみに集中できるわけだ。

トランスアクスルによる大きなメリット

システム構成は、トヨタ・ハイブリッド・システム(THS)をベースに、エンジンは新開発2.5L水平対向4気筒を搭載。これまで北米向けにも展開しているが、パワー・コントロール・ユニット(PCU)をエンジン側へ搭載するために、吸排気類のレイアウトを刷新。

カム開角の変更によるミラーサイクル化や、ポート形状見直しなどエンジン本体にも手を加え、ハイブリッド専用の新エンジンとされた。エンジン単体のスペックは最高出力160ps/5600rpm、最大トルクは209Nm/4000-4400rpmとなる。

新開発の2.5L水平方向4気筒を採用。ハイブリッド専用の新エンジンとなっている。
新開発の2.5L水平方向4気筒を採用。ハイブリッド専用の新エンジンとなっている。    スバル

また、発電用と駆動用をそれぞれ担うモーターを2つ設定。駆動用モーターは、88kW、270Nmを発揮する。これらをトランスアクスルの基本的機能である、変速、前後左右への駆動力配分を含め、ワンパッケージした”シリーズパラレルハイブリッド”としたところが大きな特徴だ。

エンジンやモーターから発生する駆動力はプロペラシャフトで後輪へ伝達することで、機械式AWDならではの高いトルク伝達性を発揮している。また高応答かつ高精度でAWD制御が行える、電磁式の電子制御カップリングを新規採用したことが目新しい。

前述のようにPCUをエンジンルーム内に搭載し、リチウムイオン高電圧バッテリーは荷室フロア下に格納。理想的な前後重量バランスの実現に寄与しながらも、ガソリン車と同等の燃料タンク容量(48Lから63L)を確保。結果として、およそ1000kmはワンタンクで走れるようになったという。

そのほか、EV走行時でも快適な室内環境を保つために、電動コンプレッサーと電熱ヒーターが採用されたことも見逃せない。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 編集

    平井大介

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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