361psの「RWD」がベスト? 最新 ポルシェ・マカン・エレクトリックへ試乗 精緻な操舵感へ惹かれる

公開 : 2024.10.31 19:05

カイエンの雰囲気へ近い広めのインテリア

インテリアは、既存のポルシェ・カイエンの雰囲気へ近い。ドライバー正面には、12.6インチのメーター用モニター。ダッシュボード中央には10.9インチのインフォテイメント用タッチモニターが据えられる。オプションで、助手席側にも追加できる。

運転席は、驚くほど座面を下げることが可能。サポート性の高い、18ウェイのスポーツシート・プラスも用意される。

ポルシェ・マカン 4S エレクトリック(欧州仕様)
ポルシェ・マカン 4S エレクトリック(欧州仕様)

初代よりホイールベースは96mm長く、クラス最大とはいえないが、後席側の空間にはゆとりがある。荷室は、メルセデス・ベンツEQE SUVに匹敵する広さを備える。フロント側にも、小さな収納がある。

インフォテインメント・システムは、グーグルの技術を用いた新世代のPCMを実装。アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応し、音声アシストも利用可能だ。

ドライバーの前方10mの位置へ投影されるように見える、拡張現実ヘッドアップ・ディスプレイも追加できる。人によっては、少し煩わしく感じるかもしれないが。

ポルシェらしいまとまりを実感する走り

さて、新型マカンを発進させれば、日常的な環境での印象は第一級。ステアリングホイールの重さや正確さ、アクセルペダルの踏み心地、フラットな姿勢制御などが融合し、ポルシェらしいまとまりを実感できる。市街地でも取り回ししやすい。

ターボの最大トルクは、121.8kg-m。0-100km/h加速3.3秒がうたわれ、めっぽう速い。しかも、ホイールスピンもトルクステアもない。タイヤへ伝わるトルクは、0.01秒単位で調整されるとか。

ポルシェ・マカン 4S エレクトリック(欧州仕様)
ポルシェ・マカン 4S エレクトリック(欧州仕様)

垂直方向の姿勢制御は安定し、ステアリングは終始正確。PTV+は、タイトなカーブでの直感的な回頭性を引き上げてくれる。極めて速く、落ち着いたファミリーSUVに仕上がっている。ただし4種の2代目マカンで、最も魅力的とはいえなさそう。

ツインモーターの4は、多くのドライバーにとって充分以上の速さを備える。オプションのエアスプリングに20インチ・アルミホイールの組み合わせは、かなりの好感触だ。

ターボほどシリアスではなく、郊外の道を安楽に移動できる。リアアクスル主導のトルク分配も、操縦性で感じ取れる。約2.3tある車重は、見事に管理下へ収めている。アウディRS3を思い出させるような、刺激も筆者は感じ取れた。

さらに速い4Sは、グリップ力と安定性が向上する印象。アダプティブダンパーは標準装備され、オプションの組み方次第で魅力度も高められる。

それでもAUTOCARが推したいのは、素のシングルモーター仕様。優れたコーナリングバランスを、低めの速度域で体感できる。同等に運転は楽しく、洗練度はむしろ高いかもしれない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事